短編
□群青に融ける
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※モロ語・野外プレイ
何にせよ、"禁断"という言葉は時として媚薬以上に人を惑わせることがある。
この深すぎる森に至ってその定義は人にすら限らないみたいで、迂闊に足を踏み入れるべきではなかった。
休みの日に、セブルスと薬草を採ろうと思って来ていたのだ。昼間なのに薄暗く、どこか青い雰囲気の此処は冷んやりしていて避暑にもちょうど良かった。
どれ位の時間が経った頃だろうか。
つい、アモルテンシアの効能と調合法の話に夢中で思ったより奥まで来てしまったようだ。
何せ、私たちの目の前では、今、非日常すぎる光景が繰り広げられてるのだから。
『…セブルス……、あれって、もしかして』
「馬鹿、声がでかい。バレたら二人とも生きて帰れないだろ」
セブルスは私の背後からかぶさるようにして咄嗟に手で口を塞いできた。
そのまましばらく二人で身をひそめ、"それ"からは少し離れた木の陰からこっそりと眺める…いや、覗き見ると言う方が正しいかもしれない。
セブルスの言うとおり、まだ私たちの存在には気づいていないみたいだけど只でさえ普段からあまり人間には姿を見せない生き物だから、今、気づかれたら、もうどうなってしまうことやら。
そんな、言わば危機的状況に置かれているにもかかわらず、私もセブルスもその場から動こうとしなかった。
すっかり釘付けなのだ、初めて見る、ケンタウルスの交尾に。
初めてどころか、今迄読んできたどの文献にも詳しく載ってなかった。それが、まさに今、現場から生中継でって感じ。
珍しすぎる研究対象への観察意欲と、単なる好奇心とが(どちらも同じようなものだけど)、ごちゃ混ぜで…
ていうかケンタウルスって雌、いたんだ。あまり生々しい部分は直接的には見えないが、ヤッてることは他の四足歩行の動物と変わらず、文字通り一方の背中に馬乗りになって腰を振ってる。一応、上半身は悩ましげに絡まりヒトのそれのように唇を貪り合っているようだ。
推察するに、一般的な哺乳類動物と同じ身体の造りで、生殖器的な部分が持つ意味での「雌」であり、見た目は………うん。(あまり雌雄の区別はつかないみたい)
神秘的な生命の交わりでありながら、やはり本能に忠実な獣同士のその行為に、あろうことか私は興奮していた。
いや、待て、私だけじゃないかも。
私の口を塞ぐ為にさっきからずっと密着したままの、セブルスの、固いものがお尻に当たってる。
交尾を分析するのに夢中だったけど、それに気づいてしまってからはまったく集中できなくて
(ちょ、ちょっと、セブルスっ)
(うるさい、声出すなってば)
(っみ、耳元でしゃべらないでよ)
(なんだ、ナナコは耳が弱いのか?)
(はぅっ、…ちが、)
結局コショコショ話で会話を続ける私たちはいつの間にか興味の対象がケンタウルスからお互いに移ってしまっていた。
待って、向こうの射精の瞬間までちゃんと見ないと、レポートに書けないじゃない!
(…レポート?正気か?)
尚も私の耳の中へ低くて熱い息声を押し付けながら、セブルスはもう完全に私の身体をまさぐってる。
(あ、んっ、ちょっと…)
(お利口な君が、っ、それを提出するのは、構わないが…、勝手に、森に入った、…、罰則は、一人で受けろよ?)
片手は胸を揉みしだきながら(割と激しく)、もう片方はスカートを捲って秘部を布越しに擦ってくる。お互いの衣擦れと呼吸の音が荒くなってきた。
(あん、だめ、セブ、ルスっ、聞こえちゃう、でしょ、)
(聞かせてやればいいだろ)
(だめっ、ひぁっ、あんっ)
信じらんないこの男!
さっき生きて帰れないとか何とか言ってたのは自分じゃないの、
(、はぁっ…大丈夫、向こうも夢中みたいだし、…森の中で、雄と雌が、絡み合うのは、自然の摂理、だろ?)
それはそうだけど…!
って無理矢理な理論なのに納得してしまうくらいには、私の脳は甘く麻痺していて使い物にならなくなってる。
自分たちのことを雄と雌だなんて、本当に、あちらの獣みたいに、本能のままに交わりたくなってきた。
そう思ったが最後、自分から荒々しく唇をセブルスのそれに押し付ける。
水音が響くのもお構いなしに舌を絡め合った。
「すごい…びしょびしょだ。身体は正直じゃないか」
『そうよ、動物は、嘘、吐かないもの。私だって、あんっ、んぅっ』
「君と、同じ生き物で、よかった、」
シャツのボタンを中途半端なところまで外し、下着をずり上げて露わになった乳房にしゃぶりついてくる行為は、雄というより赤ちゃんみたい。
そっと左手で黒髪を鷲掴みにして、右手は下を慣らすのに夢中なセブルスの手に添えた。
『あぅ、せぶるすっ、私、もう…』
限界が近いことを告げると、膣内を掻き回していた指がぬちゃ、と抜かれた。
彼がベルトを外しファスナーを下ろす間だけお互いの身体が離れたもんだから、じっとりと汗ばんだ肌に冷たい風が気持ちよくて
森と、空の青に
このまま融けてしまいそうな感じがした。
くるりと反転させられたかと思えば樹の幹に力の抜けた上体を預け、お尻を突き出すようにして腰を掴まれる。
入り口に猛りきったセブルスの雄が当てがわれ、そのまま彼は私の背中にかぶさってきた。察するに、先程のケンタウルスたちと同じ絡み方だ。
(声、抑えて)
また耳元で囁いてきたかと思えば、一気に貫かれ、思わず息を飲むしかない。
(_____っ!!)
(っ、きつ…)
顔が見えない分、耳に寄せられる濡れた唇からの低い声や息遣いに神経が集まる。
ゆっくり始まった律動は徐々に早くなっていった。
声も、音も、思いっきり解放させることができないもどかしさと
すぐ近くに居る、自分たち以外の存在から身を隠すスリル
野外、それも深い自然の中という非日常
私たちの理性を崩すには十分すぎた。
どちらも音を立てないように気を遣いながら、夢中で腰を振る。
(ふっ、あっあっあっ、)
(っ、っはぁ、興奮する、)
(せぶっ、せぶるすっ)
(ナナコっ、ナナコ、)
(ゃぁ、こぇ、出ちゃうよぉ、)
(だめ、だ、がまん、しろ)
例によってコショコショ話を展開するが、どうやらセブルスの方も余裕が失くなってきているらしい。
あぁ…もう、このまま…
(…………。)
(…、……?)
迫り来る快楽の波にそのまま身を委ねようとしたところで、セブルスの動きが止まる。
疑問に思って振り返ると、彼は息を止めてケンタウルスたちの方を見つめていた。
その視線を追いかけると、事を終えたらしい彼らがそのまま寄り添って森の奥に消えていくところだった。
…あ!最後!ちゃんと見てなかった!!
またとない機会だったの、に、?!
こちらはまだ繋がったままだというのに冷静さを戻した私を諫めるかの如く、激しいストロークが再開する。
「余所見するな」
『っ、どっちが、よ、あぁっ!』
遂に解き放たれた私たちはもはや獣も同然だ。
ヒトとしての、理性なんて檻は、とっくに失せてるのだから。
「うっ、く、あぁっ、ナナコっ」
『あんっあんっあんっ、いやぁっ、せぶるすのっ、ケモノちんぽがっ、奥にあたるぅうっあぁあっ』
「あぁっ、そうだろっ、ナナコをっ、孕ませてやるんだっから、もっと、啼けよ、」
今度は私たち以外に誰もいない空間であることを良いことに、お互いに普段は言わないようないやらしい言葉も吐き放題だ。
『やぁあんっ、ケモノちんぽにっ、乱暴されてっ、赤ちゃんできちゃぅ!!セブルスの赤ちゃんできちゃうのおお』
「くっ、…射精るっ…!!」
『あうぅ、ぅんっ、いっぱいだしてぇっ!』
がっつり腰を掴み寄せ最奥に固定すると、律動がラストスパートをかけるように小刻みになる。
「っ、ナナコっ…!!」
ドクドクと膣内に注がれた子種がじんわりと熱をもって下腹部に広がった。
しばらくそのまま息を整えてからずるっと引き抜かれると、漏れた液が内腿を伝う感覚がして、そのまま崩れかけたところをセブルスが受け止めてくれた。
「……、大丈夫か…?」
『うぅ。』
「ごめん、…止まんなかった。」
ぎゅうぅ、と抱き締められれば、私の中を見えない何かが満たしていく。
『…なんかくやしいけど、わたしも。』
ふ、とセブルスが息をついて
私たちは森の真ん中で二人、声を出して笑った。
群青に融ける
(ケンタウルスの射精…)
(そんなに見たかったのか?)
ヒャーッ、初めて、裏、書きました。
(の割にはマニアック)
ながいしwお粗末さまでした…