ロゼ ノワール
□The Dark Ages
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- 和 解 -
何かが変だと、確かに引っ掛かっていた。
どうしてもっと早くそのことに気付かなかったんだろう。
___セブルスと寝室に入った時に見た、数人の"親族"たち。私たちが広間に移ってからしばらくの時が経っているにも関わらず、あの人数が外に出る気配もなければ話声はおろか物音ひとつ無かったのはどう考えてもおかしい。
二階に"潜んで"いたのだと、少し考えれば容易にわかるはずだったのに。迂闊だった。
使用人部屋を出てセブルスのいる広間へと急ごうとするがエントランスに出たところで行く手を阻まれてしまった。
バチィッと足元に走る閃光を咄嗟に避けるや否や、その隙をついて4人ほどに囲まれる。
(……、闇祓い)
そちらに杖を構えたまま一瞬だけ横目で広間の方を確認すると、偽の老執事がちょうど部屋の中へ入るところだった。
ああ、どうか。セブルス…
未だ事に気づいていない彼の安否が気にかかるも、今は自分のことに集中しなければ。
これまでの任務でも実戦は何度か経験したが、ルシウス先輩やベラ姉さまがいつも率先してくれていた。初めて、同輩であるセブルスと二人だけの単独任務だったというのに…
『……皆さん、お揃いで。ごきげんようと言いたいところだけど、上でMr.ユタスキーが眠ってらっしゃるのよ。静粛に願えますか』
「ロザリア・ハルフェティだな?卒業してから一年経たずで単独任務とは…」
「帝王はさぞかし君を信用しているのだろう。」
さすがに一人で四人相手というのはリスクが高すぎる。
しかも、私の推測が正しければ
セブルスに近づくあの偽執事の正体は、とても私たちの手に負える相手じゃない。
ここは一旦、退いた方が良策だ。
「…さて、ハルフェティ。大人しく来てもらおうか。」
汗ばんだ手に力を入れる。
『…お生憎さま、答えはノーよ。
ルーモスマキシマ、強き光よ!』
薄暗い空間を一瞬にして白く強烈な光が埋め尽くす。目を眩ませた隙に、広間へと全力疾走した。