ロゼ ノワール
□The Dark Ages
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- 別 離 -
わからない問題や数式、調合はその日の内に片付けるのが信条だった筈が、この様である。
あれから数日が経った。
どうしてもあの日のロザリアがとった態度の真意がわからないまま、まんまとフラストレーションは溜まっていくばかりだ。
何でもいい、言葉を交わしたかった。
(声を、聞きたかった。)
まだ活動を本格化させていない死喰人の召集は不定期で次はいつ、彼女に会えるのかまったくわからない。
しかしその時は思っていたよりも早く訪れた。
数日の間、机の上に広げたままの紙を見つめ何をどう書いたらいいのか考えあぐねている。
一文が浮かんではいやまてよ、と打ち消すのを繰り返しながら恋文じゃあるまいし何故私がこんな、とペンを置いたりしてまた振り出し。
ぼんやりと窓の外の、薄汚れた景色を眺めていると何となく自分の心の中を見ているような気分になった。
ふと目をこらすと一羽のフクロウがこちらへ飛んでくるのが見えたので、建てつけの悪い窓を開ける。
バサバサと大きな音を立てて失速しながら手紙を放り込むとそのまままたどこかへ飛んで行ってしまった。
まさか、送ろうとしていた相手から手紙が来るなんて、
少しだけ胸を弾ませて(どうして胸が弾んだりなどするのか)、封筒を見るが虚しくも期待は外れてしまった。
重厚な"M"のシーリングワックス
ルシウス・マルフォイからだ。
だが、まだ肩を落とすには早い。
中から出てきたカードは親しい家同士で気軽に行われるような、サマーパーティーへの招待状だった。
普段であれば何ということはないのだが
(ロザリアに会える!)