神楽と神威の姉は真選組女隊士!?

□夏のあっついあっつい日でも平和な日常
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今日も今日とて公園では例のごとくあの二人が本気の殺し合いもとい喧嘩をしていた。

ジリジリ照りつける日差しの中だろうが凍える風の中だろうが、綺麗な紅葉のジュータンの上にいようが、命芽吹く暖かい季節だろうが・・・・一年中飽きもせずに喧嘩を続けている。

だがここ最近、喧嘩をするその後だ。

二人は近くにあるベンチに一緒に腰掛け世間話なぞをするようになった。
しかし、今日はもうひとり髪の長い隊服に身を包んだ女性の姿が見当たらない。


それはつい先刻のことだ。




何時ものように3人で出かけていた。
そして、少女は酢昆布を少年はチューペットを咥えこれでもかというほどベロンベロンになっていた。
そこにその女性神凪が急用ができたとかでいそいそと帰ってしまったのだ。

その直後、彼女の妹であるチャイナ服の少女神楽は傘で隠れたなかからぼやいた。

「お前ら最近どっかに切り込みにでも行ってんのカ?」

素朴な疑問だった。
なぜなら神楽の嗅覚は犬には劣るが、人間よりも遥かに上回っている。
僅かな匂いも感知できる。

特に、”血の匂い”はほかのどんな匂いよりも敏感に感じることができる。
神楽が感じ取った匂いはそれとあまりにも酷似していた。
そんな匂いを隣にいるこのドS王子、沖田総悟が感じられるはずもなく、さらりと否定されてしまったのだ。

たったそれだけで怒る訳ではなかった。
ただそのあとの沖田の不本意な言動と、それに対して挑発するような神楽の言葉に互いに気分を外し、喧嘩が始まったのだ。


だらだらと汗を流しながら、ゼーゼーと息を荒立てる。
同時に再びベンチに腰掛けた時には喧嘩する気力など毛頭残っていなかった。
沖田はふらりと立ち上がり、缶ジュースを二つ持って帰った来た。
片方を神楽へ投げる。
どかりと座り首に巻いたスカーフを緩めながらジュースを口にする。
それを見て神楽もゆっくりとそれを喉へ流す。
冷たく冷え切ったジュースは体に染み渡るように美味かった。

「で?なんでオメェ切り込みだなんだとおもったんでぃ」

「・・・」

一瞬にして神楽の表情が曇る。

静かに開かれた口からは思いもよらぬ言葉が聞こえた。
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