神楽と神威の姉は真選組女隊士!?

□とある昼下がりの少年少女
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ずっと続く沈黙、電気の消えた部屋に二人分の寝息が異様に響く。

背中をくっつけてアイスを食べていた二人はいつの間にやらその体制を崩していた。

けれどその様子は仲の良い兄妹か何かが寄り添いながら静かに眠っているようだった。

ここ一週間、二人が一緒にいることが多くなった。

喧嘩ばかりではなく、少しだけ世間話や、上司の愚痴を言ったり、こうして二人で昼寝したり。





沖田side




・・・・・・・





(ここどこだ?すげぇくれぇ・・・)

ぼやけていた意識がホンの少しはっきりしていく。たまに実感する感覚、これは夢だと。全く、夢なんざ見たところでいい気はしない。
夢くらいなら会えるかと何度も願ってみたが、”あの人”は一度だって俺の夢に姿を現せては、声を聞かせてはくれない。

この真っ暗な空間も目が覚めれば消えてゆく。すっと目を閉じる。
足元に何かがドロドロとまとわりついてくる。夢の癖にやけにリアルな感覚だ。
閉じた眼を開き、足元に目をやるとそこには黒ずんだ底なし沼のような場所になっていて、
聞こえはしないが、大量の怨霊のようなものが、俺が今まで殺してきたやつらの恨みなのか、それが俺の足めがけ手を伸ばしてくる。

背中がぞくりと震え上がた。人を殺すことになんの恐怖も持たなかった、

それがいま夢に出てこられると、抑え難い恐怖が全身を駆け巡る。
気がつけば、無我夢中で走っていた。宛もなく、ただその手に触れられるのは嫌だった。真っ暗な嫌な場所。

目を凝らせば前方に誰か立っている。こちらへちらりと振り返ってくる。その人物を俺はよく知っている。

「・・・!ぁ、姉・・・上・・・?」

呼ぶとにっこり笑って”底なし沼の主たち”に引きずられていったその場に駆け寄り膝をつく、

「・・・は、ははは、あーあ、こりゃSにはきついぜ・・・」

嫌な汗が流れる、そのまま底なし沼に沈んでゆく・・・息苦しさと、身体中をギリギリと締め付けられる。
たかが夢、そう割り切ってしまえば楽だろう。なぜそれができない?

理由は決まってらぁ、”姉上”がいたから、覚めてしまえばまた会えなくなる、現実も夢もどっちにいても俺はただの人斬りらしい。

「なんなら、夢だけじゃなく現実でも殺してくれりゃァいいんだがね」

ゆっくり目を閉じた。



(夢はどうにも苦手だ、誰もいねぇ、独りだ。だから、気が緩んじまう。)



俺はこんなに弱かったか?柄にもねぇことを考えた。
今の俺はどんな顔してんだろうな・・・苦しさが限界に達した時だった。
何故か冷たい感覚が少しずつ暖かくなってゆく。

『大丈夫、お前は私に殺されるまで死んだりしないネ』

知ってるやつ、ムカつく上女らしさなど毛ほどもない女。
なのに何故かほっとする。力がすうっと抜けた。
次に目を開けたら、それは夢ではなくて、目の前にはそいつの顔がまじまじと俺を見つめていた。
そして、気づくとそいつ、チャイナは俺の手を握り、頭をゆっくり撫でていた。普段なら有り得ないし、気持ち悪い。がその手を払いのけることができなかった。

「やっと起きたネ。お前、随分魘されてて、私は目が覚めてしまったネ」

迷惑そうに言いながら起き上がる、それに釣られ俺も起き上がった。

「そうかい、そりゃ悪かったな。だがおめぇにしちゃぁ随分と今日は優しいんだねぇ」

嫌な汗は止まらない。チャイナはからかってもいず、怒ってもいない。ただ真っ直ぐ真剣に俺を見てきた。

「お前、気づいてないアルか?その目から出てるもんなんだヨ」

そう言われて初めて自分が泣いていることに気づいた。最悪だ、コイツの前で涙を流すとは・・・!
かっこわりぃし、ネタにされる・・・。弱みを握られて気分になり、袖でゴシゴシと力強く擦る。
するといつの間にかチャイナは目の前にいて、その袖を俺より少し小さな手がギュッと握ってきた。
驚いて、固まっていると、思いもよらぬ言葉がとても小さくけれど、俺にはしっかり届いた。

「泣きたいときには泣けよ、みんなの前で泣くのが嫌ならいつでも私をところに来るヨロシ」

本当に今日は俺もコイツも逝かれてるらしい。無意識でチャイナを抱きしめる。

「あー、暑さで頭やられたか?クソチャイナ」

「ふん、それはお前も一緒ネ。でも、泣きたい時は誰かに全部ぶつけて吐き出せばいいアル。苦しい時は苦しいって言えばいいネ。しょうがないから、他の奴らには黙っててやるアル」


その言葉が何故か嬉しいと思ったのは、口にしない。らしくねぇ、本当。

クーラーがついているのに顔が熱のは、この以上に高い気温のせいで、バクバクうるさい心臓はコイツの行動に驚いているからだ。
それ以外ありえねぇ!!

沖田side終

(や、やばいアル心臓バクバクで顔が熱いネバレないようにしないと)

互いに考えていることは知らない
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