神楽と神威の姉は真選組女隊士!?
□真選組女隊士!
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今日は久しぶりの晴れ日和だ。真選組屯所では、相変わらずのゴリラの笑い声と、不馴れな女性の声が飛び交っていた。
「がーはっはっは!そうかいそうかい!いやー、帰ってきてくれたのは嬉しいが、あの入り方は直してくれ・・・」
笑いながらも、涙目になりながらの切実な訴え。申し訳なさそうに苦笑いをしながら。
軽く返事をする。
「帰るんなら連絡を寄越してくれれば、総悟なりトシなり使いに出させたんだが」
「ふふ、まあビックリさせたかったから。総悟も十四郎も、居ないのが残念だよ。こっちも忙しいみたいだね」
などと言葉を重ねる。
楽しげな笑い声をひとしきり聞いたあと、ぞろぞろと入室してくる。
そして、神凪に一礼し、帰還を祝福した。それにお礼を兼ねて笑ってみせる。
「兎葵隊長!お疲れ様です!」
「お疲れ、体調に気をつけなよ?」
彼女、兎葵神凪は真選組唯一の女隊士であり、局内での人望も他の隊長格達より遥かに優っている。
剣術の腕はもちろん、格闘術に関してのうでも確かで、隊士たちからは一戦交えてもらいたいだの、技のいろはを教わりたいだの四六時中声が上がるほどだ。
そして、決して誰かを責めることをしない。例えそれがただいなる失態であっていても、優しい笑顔と、普段と変わらぬ口調で
『大丈夫。貴方が無事でよかったわ。失敗してしまったのなら、貴方はまた次にどうすればいいか考えられるじゃない。失敗は悪じゃない』
自分のことよりも仲間を大切にする。そんな彼女を姉さんと呼ぶものも多い。
「全く、姉さんが帰ってくると盛り上がるなぁ」
「近藤さん、私の方が年下なんだからその呼び方はやめてくださいよ」
少しだけ頬を染めた神凪は頭をかりかりと掻いた。その姿が、どこか誰かに似ている気がして、近藤は口を閉じてしまった。
不思議そうな顔をすると直ぐにいや、なんでもないと流したが・・・
「随分と遠出をさせていて済まなかった。神凪、これからはこの江戸にとどまり、俺たち同様江戸の治安を守ってくれ」
「・・・何を今更、私はその為に戻ってきたんですよ?」
出された茶をごくごくと飲み干し、机の上にゴトリと音を鳴らせながらおいた。
そのまま麩まで歩み寄り、手をかけ開け放つ。
その去り際に
「帰れと言われてもかえりませんからねッ!」
と言ってベーッとしたを出して出て行った。
他人になんと言われようが絶対に自分の意思を曲げはしない。彼女の生き方は、まさに真選組が目指すべきあり方だ。
そう近藤はつくづく感じ、その生き方をしている彼女が美しいと思うのだ。
しばらく彼女の消えた法を見つめていた。