神楽と神威の姉は真選組女隊士!?
□夜中に未成年がほっつき歩いてると変態が寄ってくる
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万事屋が真選組に居座ってから二週目が経とうとしていた。不思議なことにその二週間というもの全く例の事件は起こっていない。
流石に四件も起こると用心深くなるものなのだろう。日が沈むと外は酔っ払った男か、客引きの女たちの姿が目に映る。
子供の姿など微塵もなかった。隊長格と万事屋3人が集まり、話し合いを始めた夜9時ごろ。相手が動かないことには、こちらも打つ手がない。
「・・・・」
ただひたすらの沈黙、その末すっと立ち上がりスケッチブックにスラスラと文字を書きそれをペロンと見せる。
オレンジ色のアフロ頭が特徴、斉藤 終だ。
その文字を近藤が音読する。
「なになに?『劣り作戦をして見てるのはどうですかzッ!』だそうだ」
「さすが終兄さん!」
「いいんじゃねぇか?」
終の意見はすんなり通った。しかしここで問題がある。
劣りをするにも、狙われるのは未成年の子供だけ、今ここで未成年なのは、沖田総悟、志村新八、神楽。
この三人だけだった。その中でも沖田は恐らく顔が割れている。残りは二人・・・変に重い空気が流れる。
数秒間の沈黙は何時間にも感じられた。
それを打ち破るのは赤いチャイナ服に身を包んだ少女だ。
「・・・私が劣りになるアル!」
「ちょ、か、神楽!?お前本気か?」
「おうネ!」
「でも、何かあったら僕ら、星坊主さんに抹殺される・・・」
新八と銀時の焦りは異様なものだった。
それは他の真選組隊長格たちにも察しがついた。神楽はあの星坊主の娘だ。
しかもかなりの親バカ、怪我一つでも江戸一つ破壊されかねない。万が一のことがあれば地球ごと破壊されそうなほど・・・
「おい、チャイナ娘。いいのか?」
「いいアルよ。そうそう簡単にやられたりしないヨ」
笑顔で答える神楽に神凪はゆっくり近づいてそっと頬に手を添え視線を合わせる。
「神楽ちゃん、ほんとに平気?万が一のことが起きたらちゃんと逃げるのよ?」
「・・・わ、分かったアル・・・」
神楽がどこか照れたように頷くと、優しく笑いふわりと頭を撫でた。
どこか嬉しそうにうつむく神楽を知るのは沖田くらいだった。
作戦決行は今夜10時ゴロ。
それまで神楽は劣り用に用意された服を念入りにチェックしていた。