神楽と神威の姉は真選組女隊士!?

□万事屋への依頼
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ジリジリと照りつける真夏の日差し、それに負けじと鳴き叫ぶ蝉の声。

この暑さの中でもクーラー一つ付けないいや、金銭問題によりエアコンというものを取り付けられないでいる。
万事屋と書かれた看板を掲げている建物は三人と一匹のうめき声が響いていた。

「あーづーいーーーー・・・・」

そんな中、万事屋の社長である銀髪天然パーマの男。
坂田銀時がかったるそうに立ち上がり、それに続き人間をかけたメガネこと志村新八が立ち上がる。

「誰が人間をかけたメガネだゴラァあああ!!!全く、僕らは先に行ってくるから落ち着いたら来るんだよ?」

そう言い残し何処かへ出ていく、その姿を横目でみやりながらぐてーっとソファーに寝転がり、たった一代の扇風機を一身に受けている少女が一人。
最近暑さのせいか、それとも別の理由があるのか・・・

動きがだらだらしているのは何時もの事なのだが、つい先日暑さによりボーっとすることや、いきなり倒れることが多くなったのだ。
真夏は太陽の光も強い、その為日光に弱い種族である彼女は他の誰よりその影響を受ける。
わかっているからこそ、仕事もちょくちょく休ませながら、体力が回復してから・・・などと配慮してくれる。

しばらく天井の一点をボーっと眺め、扇風機に揺れる髪を掴まえ指でいじりながらゆっくりと起き上がる。

「・・・ホントは行きたくないけど、仕方ないネ・・・」

お団子頭の少女、神楽は気だるげに隣にあった傘を取り出して玄関へと向かう。

そこには巨大な犬か静かにしっぽでパタパタと床を履く。

「定春・・・今日は歩ける気がしないから乗せてヨ」

そう言いながら頭を撫でてやると、ワンっ!と元気よく返事をする。

定春の背中に乗り、傘をさしてある場所へと向かう。

今日の依頼者は・・・真選組。
万事屋の宿敵にして、ライバルでもある存在の彼らから昨夜、一本の電話があった。

とある事件で死亡した被害者が以前万事屋と接点があったということで話を聞きたいらしい。
その亡くなった人物というのが神楽と同い年くらいの少女で、神楽とすぐに仲良くなったのだ。
少し元気がないのはそのためか、
未だにそのショックを受け入れきれないのか、虚ろな目で傘の中から見える青空を眺めていた。そのうち屯所の前まで着ていた。

脇には見慣れた『銀』と書かれたスクーターを目に止めた。
ストンと降りると同時に扉が開かれ、隊士の一人が出迎え中へ通してくれる。定春は暫く外の影でずしりと居眠りを始めた。

「チャイナさん最近体調良くないって聞いたけど大丈夫かい?」

「へーきヨ!なんたって私は無敵アルからな!心配してくれてありがとうネ!」

元気よく笑顔を向ければ、心配そうに覗き込んできた顔もほころぶ。

そして、ある部屋の前までくると、さぁどうぞ。旦那や新八君もいるから。
少々の世間話をして、軽く礼を言ってから麩に手をかける。
すると注目されるその目つきに現実を突きつけられた。

お馴染みの銀時と新八。真選組側の近藤、土方、沖田。

そして見たこともない女が1人、長い黒髪にすっと目が釘付けになる。チラリとこちらを向く青い目が誰かに似ていた。

無心に新八と銀時の間へと座る。ただじっと見つめて視線を動かさずに

「誰アルか?」

そうポツリと呟いた。黒髪の女がちょこちょこと近藤の隣に腰をを下ろす。

「初めまして・・・だね。私は兎葵って言います。貴女が・・・神楽・・・ちゃん?」

神楽、そう名前を言ったとき、とても悲しそうな顔をしたのは気のせいだろうか・・・
ふわりとわらったので気には止めなかったのだが、その笑顔がどこか懐かしく、神楽は少し照れながら、視線を自分の膝に落とし、もじもじと手遊びを始めた。
一瞬のんびりとした空気になるが、ずしんとのしかかるような空気が蘇る。

「被害者の名前は、倉木 桜。14歳の少女だ。最近江戸で起きている無差別殺人4人目の被害者で、チャイナ娘とも仲が良かったと聞く。現場は深夜2時の人通りの少ない裏路地だ。未成年の子供が好き好んでそんな時間に一人で歩くもんか・・・」

「そこで、仲が良かったチャイナ含む旦那方に来てもらったんでさぁ」

「桜はいい子ヨ。パピーもマミーも仕事ばっかりで、小さい弟や妹の面倒見ないといけなくて・・・自分の時間がないからだから、一日だけでいいから普通の女の子みたいに遊んでみたいって・・・」

握り締めた手にギュッと力が込められる。それを見て、銀時はくしゃくしゃと乱暴に赤みがかったオレンジ色の髪を撫でる。
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