神楽と神威の姉は真選組女隊士!?
□プロローグってだいたい昔話だよね
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いつだったか、幼い弟と妹を置いてあの家を出たのは・・・
働ける私が何処かへ働きに行かねばと思ったのは事実。けれど、それが原因で寂しい思いをさせ続けたというのが、くしくも現実に起こっているわけで
梅雨時、とはいかない。はるか数年前まで遡ると、それは日常的なこと。
一年中雨ばかり降る、薄汚れた星が私たちの故郷。
久しぶりに帰った故郷は、合間変わらず、じめじめとした重苦しい空気が漂い、しとしとと降りしきる雨と夜闇とが似つかわし場所だ。
そして見慣れた小さな背中を見つけ、そっと顔を覗き見ると、雨でずぶ濡れになった身体でその大きな目からは此また大きな涙流していた。
こぼれ落ちるその雫は、雨か涙かも定かではない。それを、ただ見詰めることしかできずに、数分間は黙っていた。
そのあと名前を呼ぶと。本当に嬉しそうに振り向き、笑顔を向けてくる。
きっと孤独に耐えきれずに一人涙を流したのだろう。
すぐあとにきく話では、父も兄も何処かへ行ってしまったあとだそう。
私は父や弟に対する感情を定めることができない。
一番最初にこの家を投げ出したのは私なのだから、それでも何故この子を一人にしたと問えば、なら何故お前は、病気の母と幼い弟と妹を置いて、悠々と暮らしていたのだと返されるだろう。
ただこのとき、私は、まだ小さかったこの子を、妹を守ってやりたいと思った。
そしていつか、この子が大切なものを守れるように、強くなってほしいと願い、ささやいた言葉に大きくうなずくのを私は知っていた。
自分と同じ綺麗な青い澄んだめが真っ直ぐに見つめてくる。
それをしっかり見ながら言った。
「なぁ。神楽強くなりたい?」