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□停滞の先に
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ロンドンの今日は最高に最悪だ。





俺が朝起きたときは、珍しいほどの快晴だった。カーテンを開けて空を見ると、雲一つ見当たらない。

快晴に加えて今日から仕事は一週間休みだ。これに関しては俺もよくわからないのだが、昨日突然上司から約一週間の休日を与えられた。

その真意が汲み取れず形容しがたい顔で突っ立っていたら、なぜか謝られた。なんだその謝罪。俺はもう用済みだっていうことか。
そう思ったが解雇のお知らせは入らなかったので大人しくその休みを受け入れた。リストラじゃなかったら一週間の休みは大きい。こんな社会情勢の中、1日でも休息の日は取りにくい。俺としては万々歳。



庭の手入れ、買い物、なんでも好きなことを出来る。最高。綺麗なスカイブルーの空を眺めながら、俺は小さく微笑んだ。




しかしそう思ったのはほんの一瞬。


いつも通り朝食を済ませて、いざ庭掃除をしようと意気込んで外に出て10分。

ちょっとした手入れを終わらせ、草刈りをしようと立ち上がった俺に襲ってきたのは突然の大雨。突然すぎて少しの間理解が追い付かず変な声が上がった。


ここはいつから南国になったスコールじゃねえかこれ、そう思いながら慌てて家の中に戻ったが時既に遅し。全てが雨で濡れた。

まだ午前10時過ぎだというのに気分は最悪。大きく舌打ちをして俺は軽くシャワーを浴びた。よって今の俺はボディソープの薔薇の香りがする。どうでもいい。


そして、現在。


「刺繍でもすっかな……」


完璧に暇を持て余した俺は、ソファに座っていつものごとく紅茶を片手につまらないテレビを見ていた。

この大雨だ。欲しかった茶葉すらも買いにいけない。むしろ今外に出ているやつは頭がいかれているのではないかとさえ錯覚する。


今日はいろいろ諦めよう。静かに家の中で過ごすか、そう思って立ち上がった瞬間、家のインターホンが鳴ったのは確か。



……いかれてやがる。






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