Main
□今日の運勢
1ﾍﾟｰｼﾞ/3ﾍﾟｰｼﾞ
今日はイギリスが家に来る。
そうだ。今日はイギリスが俺の家に遊びに来るんだった、そう思い出して眠たい頭に刺激を与え上半身を起こしたのは俺ことアメリカ合衆国。仕事の休みが重なり、二ヶ月ぶりに恋人のイギリスに会える。俺はんっと伸びをして、ベッドから降りようと足を床につけた。
刹那。
俺は右足を滑らせ、頭をベッドの角に打つという失態を犯した。
「っい……！？」
瞬間的な痛みに涙目になるが、俺はヒーローだ。悲鳴と涙をこらえて、俺は立ち上がる。
泣いている時間はない。イギリスを出迎える準備をしなければ。
カーテンを開けると空は薄暗い。曇りはテンションが少し下がるが、まぁ今日は良しとしようじゃないか。
部屋を出るためドアを開けようとしたらドア前でなぜか転んで額を打つ。危ないじゃないか、テキサスが壊れてしまう。額をさすりながら、俺は部屋を出た。
一階に降りて準備を始めようと思い階段を降りたら最後の数段を踏み外すという始末。腰を負傷した。冗談抜きで痛い。イギリスに会う前に傷だらけになっちゃうぞ。
痛む腰を軽く叩きながら洗面所に向かう。顔を洗おうとしてタオルを探すが全て使用済みで洗われていない。昨日の自分を殴りたい。俺はため息をついて最近買っておいた新しいタオルの包装紙を開けた。
フワフワのタオルとメガネを置き、水を出したらお湯だった。いや、何年ここ使ってるんだ俺！水とお湯の水道を間違えるなんて情けないぞ！
少し熱湯で手を負傷したが気にしない。タオルで顔を拭いて俺は鏡の前でニッと笑って見せた。うん、良い笑顔だ。誰と会っても恥ずかしくない笑顔を作ったあと、メガネをかけ直す。別に手が滑ってそこにあったゴミ箱にメガネがダイブしたなんてことはしてない。うん、ごめんねテキサス。
きっちり髪もセットして、俺は朝御飯の準備に取りかかった。キッチンに入り湯を沸かそうとしたらガスコンロが点かない。ライターやチャッカマンを駆使して火を点け、インスタントコーヒーを開けたら粉末が飛び散った。それを急いで片付けて、そうしているうちにお湯が沸いた。もう一度コーヒーを慎重に開け、カップに入れお湯を注ぐ。うん、このコーヒーインスタントだけど香りも良いし味も良いんだよね。フランスに教えてもらってからずっとこのコーヒーにしている。…イギリスが美味しいって言ったのも理由の一つだけど。
トーストを焼いたら見事にイギリスのスコーンみたいに真っ黒になり、バターを塗ろうと思ったら一枚目の半分で無くなった。自分で焦がしたのを食べても少しも美味しくないし、むしろ不味い。コーヒーを一口含むと舌を軽く火傷した。ひりひりする。これじゃまともに食べられない。
俺はため息一つつくと、朝食を食べることを諦めた。このまま行ってもきっとまた負傷する。
イギリスが来たら一緒に外食に行こう、そう思って立ち上がった。