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□sewage
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ハンジ
「ね、リヴァイはどうしてエルヴィンについてきたの?地下街でスカウトされたんだよね?」

はあ、と酒臭い息を吐きかけられて、リヴァイはむっとした顔をした。

それを見てハンジは笑う。

慌てたモブリットがハンジを羽交い絞めにして、リヴァイから引き剥がした。


始めは、食堂の片隅で古参の者たちが酒を飲んでいただけだった。

そこにハンジが加わり。

面白がったエルヴィンが、リヴァイを連れてきた。

酒なんて貴重なもの、そうそう飲めるものではない。

その一角は異様に盛り上がっていた。

もう消灯の時間は過ぎているのだが、誰も止めるものが…というか、止める立場の者達が騒いでいる。

リヴァイ
「モブリット。そのまま絞めちまえ」

ハンジ
「だって、聞いたこと無いよ。興味あるよね、みんな!」

そうだそうだ、と野次が飛ぶ。

リヴァイが珍しく、口を開いた。

リヴァイ
「…そうだな。この男は、俺に下水を啜らせた奴だが」

ミケ
「…すん」

リヴァイ
「…ああ、実行犯はお前だがな」

ナナバ
「人類最強がねぇ!」

リヴァイ
「…そのあと、こいつはその下水に足を踏み入れ、膝をついた」

一瞬、辺りが静まり返る。

リヴァイ
「なあ、あれは演出だったのか?」

リヴァイはそんな事には構わずに話を続けた。

エルヴィン
「…良く覚えているな」

リヴァイ
「まだボケる年じゃねえ」

エルヴィン
「まあ、…そうとも言う。覚悟とでも言うのか」

ハンジ
「つまりい、同じ穴の狢だよって事だよね!」

モブリット
「ぶ、分隊長!」

ハンジ
「悪党同士!間違ってないよ!」

ナナバ
「もう、いい話が台無しだよ!」

ゲルガー
「まったくだ。酒もっと持って来い!」

ハンジ
「おっけー!酒より酔えるもの持ってくるよ!この前作った新しい薬が…」

ゲルガー
「そういうのはいいんだよ!」

そんなやり取りを聞いて、笑いが戻ってくる。

エルヴィン
「だが、あの時のお前は、私を殺そうとしていたんじゃないか?」

笑いにまぎれて、エルヴィンがとんでもない事を聞いてきた。

リヴァイはぎょろ、とその目をエルヴィンに向けた。

リヴァイ
「…今も、だとしたら?」

エルヴィン
「ははは」

リヴァイ
「チッ」

エルヴィンはリヴァイの肩を軽く叩くと、ある方を指差した。

その向こうでは、この騒ぎに気づいた幾人かの若い兵たちが、そわそわとこちらを見ている。

リヴァイ
「…」

リヴァイはコップを置き、す、と立ち上がると、そちらへ向かった。

リヴァイ
「お前ら」

目の前に立つと、どうやら問題児の集まり、104期生達だ。

コニー
「は、っはい!」

リヴァイ
「さっさとしねえと、無くなるぞ」

「「「!!!」」」

許しが出た、とばかりに、兵たちが食堂へなだれ込む。

リヴァイ
(さて…)

ポケットに道具は入っている。

エルヴィンの部屋から酒をかっぱらって来ようと、リヴァイは廊下を歩き始めた。

一際大きな笑い声が、辺りに響き渡った。



end
 

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