Dream L

□Days like this
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リヴァイは○○○の膝の上で、懐かしい夢を見る。


リヴァイは一人、街の外れに来ていた。

一緒に暮らしているケニーが喧しいので、時折静かなここに来ていた。

今までは。

先日見かけた後、ケニーは家に戻っていない。



ここは廃墟だ。

幽霊がでる、とか。

死体がある、とか。

そんな噂があるためか、ここに近寄りたがるものはいなかった。

馬鹿な大人が、肝試しに来るくらいだ。

リヴァイ
「…」

ここの廃墟の建物には、家財道具が結構残っている。

リヴァイは本棚から一つ本を取り出すと、廃墟の外にでた。

空が見えるここは、空気が澄んでいるようで心地よい。

座りやすい石を探し、腰を下ろす。

ぱらり、と本を捲る。

難しい字や知らない言葉も多かったが、本を読むのは好きだった。

ところが。



○○○
「何読んでるの?」

本から目を上げると、○○○がいた。


リヴァイ
「…」

マーク
「ああ、君も来てたのか」

リヴァイ
「馬鹿親子が」

マーク
「第一声がそれとは、手厳しいね」

そういって、男は笑った。

○○○
「父さん、先に探してるね」

そう言う○○○に、ああ、と言うと、マークはリヴァイの隣に腰を下ろした。

リヴァイ
「いい加減にしねぇと、捕まるぞ」

マーク
「そうだね…。これで最後にしようかな」

リヴァイ
「…」

マーク
「仕事も軌道に乗ったし、あの子をこれ以上危ない目にあわせる訳にも」

リヴァイ
「…」

マーク
「今まで見逃してくれて、ありがとう」

リヴァイ
「俺は何もしてない」

マーク
「そうだね、そうだ。そこが、君の良さだね」

盗みを止めることも無ければ、憲兵に知らせることも無い。

分かった上で、リヴァイがそれを選んだことをマークは知っていた。



父さーん!という○○○の声に、マークは立ち上がると廃墟の中へ入っていった。

マークと入れ違いで○○○が出てくる。

父と同じところに座った。

○○○
「エル、何かあったの?」

リヴァイ
「いや…」

○○○
「変な顔してる」

リヴァイ
「…」

○○○
「はいっ!」

○○○はカバンの中から、紙袋を取り出す。

○○○
「作ったの。食べて」

ぽす、と膝の上に紙袋は置かれた。

リヴァイ
「…」

○○○
「パンにジャム塗っただけよ」

リヴァイ
「…じゃあ食う」

○○○
「!」

むっとした顔を隠さない○○○に、リヴァイは笑った。

それを見て、○○○も笑う。

○○○
「…お腹空くと、悲しい気持ちが増えるから」

リヴァイはパンを口に入れた。

黒すぐりのジャムは、甘酸っぱい。

リヴァイ
「なあ、○○○」

○○○
「?」

リヴァイ
「今まで一緒にいたヤツが…急に居なくなるってな、どういうことだろうな」

○○○
「…?」

リヴァイ
「…いや、いい」

○○○は少し考え込んだようだった。

リヴァイ
「そういや」

○○○
「よく、わからないけど」

リヴァイ
「…」

○○○はため息を付いて立ち上がり、リヴァイの手にあるパンを奪うと、彼の口に押し込んだ。

リヴァイ
「ぐ、っ。なにしがやる」

○○○
「美味しい?美味しいならそれで十分じゃない」

リヴァイ
「…」

リヴァイは渋い顔をしながら、パンを噛み締めた。

○○○は、ね?、とリヴァイの顔を覗き込む。

リヴァイ
「相変わらず、食い意地はってんな」

○○○
「!そんなことないもん」

リヴァイ
「はっ」

○○○
「笑わないでよ!」

○○○の顔を見ていたら、考え込んでいた自分が馬鹿みたいに思えた。

ケニーにも、何か事情があるのだろう。

一人で生きていく術は、与えて貰った。

リヴァイ
「○○○」

○○○
「?」

リヴァイ
「もう、ここには来るな」

○○○
「え…?」

リヴァイ
「最近ここらも物騒になってきたからな」

○○○
「…」

リヴァイ
「分かり易い顔してんじゃねえ」

○○○
「だって」

リヴァイ
「わかったな」

ぽん、とリヴァイは○○○の頭に手を置くと、立ち上がった。

そのままその場を、後にした。

名を呼ばれた様だったが、振り返るのは止めた。

未練が残る。



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