Dream L
□Days like this
4ページ/5ページ
リヴァイは○○○の膝の上で、懐かしい夢を見る。
リヴァイは一人、街の外れに来ていた。
一緒に暮らしているケニーが喧しいので、時折静かなここに来ていた。
今までは。
先日見かけた後、ケニーは家に戻っていない。
ここは廃墟だ。
幽霊がでる、とか。
死体がある、とか。
そんな噂があるためか、ここに近寄りたがるものはいなかった。
馬鹿な大人が、肝試しに来るくらいだ。
リヴァイ
「…」
ここの廃墟の建物には、家財道具が結構残っている。
リヴァイは本棚から一つ本を取り出すと、廃墟の外にでた。
空が見えるここは、空気が澄んでいるようで心地よい。
座りやすい石を探し、腰を下ろす。
ぱらり、と本を捲る。
難しい字や知らない言葉も多かったが、本を読むのは好きだった。
ところが。
○○○
「何読んでるの?」
本から目を上げると、○○○がいた。
リヴァイ
「…」
マーク
「ああ、君も来てたのか」
リヴァイ
「馬鹿親子が」
マーク
「第一声がそれとは、手厳しいね」
そういって、男は笑った。
○○○
「父さん、先に探してるね」
そう言う○○○に、ああ、と言うと、マークはリヴァイの隣に腰を下ろした。
リヴァイ
「いい加減にしねぇと、捕まるぞ」
マーク
「そうだね…。これで最後にしようかな」
リヴァイ
「…」
マーク
「仕事も軌道に乗ったし、あの子をこれ以上危ない目にあわせる訳にも」
リヴァイ
「…」
マーク
「今まで見逃してくれて、ありがとう」
リヴァイ
「俺は何もしてない」
マーク
「そうだね、そうだ。そこが、君の良さだね」
盗みを止めることも無ければ、憲兵に知らせることも無い。
分かった上で、リヴァイがそれを選んだことをマークは知っていた。
父さーん!という○○○の声に、マークは立ち上がると廃墟の中へ入っていった。
マークと入れ違いで○○○が出てくる。
父と同じところに座った。
○○○
「エル、何かあったの?」
リヴァイ
「いや…」
○○○
「変な顔してる」
リヴァイ
「…」
○○○
「はいっ!」
○○○はカバンの中から、紙袋を取り出す。
○○○
「作ったの。食べて」
ぽす、と膝の上に紙袋は置かれた。
リヴァイ
「…」
○○○
「パンにジャム塗っただけよ」
リヴァイ
「…じゃあ食う」
○○○
「!」
むっとした顔を隠さない○○○に、リヴァイは笑った。
それを見て、○○○も笑う。
○○○
「…お腹空くと、悲しい気持ちが増えるから」
リヴァイはパンを口に入れた。
黒すぐりのジャムは、甘酸っぱい。
リヴァイ
「なあ、○○○」
○○○
「?」
リヴァイ
「今まで一緒にいたヤツが…急に居なくなるってな、どういうことだろうな」
○○○
「…?」
リヴァイ
「…いや、いい」
○○○は少し考え込んだようだった。
リヴァイ
「そういや」
○○○
「よく、わからないけど」
リヴァイ
「…」
○○○はため息を付いて立ち上がり、リヴァイの手にあるパンを奪うと、彼の口に押し込んだ。
リヴァイ
「ぐ、っ。なにしがやる」
○○○
「美味しい?美味しいならそれで十分じゃない」
リヴァイ
「…」
リヴァイは渋い顔をしながら、パンを噛み締めた。
○○○は、ね?、とリヴァイの顔を覗き込む。
リヴァイ
「相変わらず、食い意地はってんな」
○○○
「!そんなことないもん」
リヴァイ
「はっ」
○○○
「笑わないでよ!」
○○○の顔を見ていたら、考え込んでいた自分が馬鹿みたいに思えた。
ケニーにも、何か事情があるのだろう。
一人で生きていく術は、与えて貰った。
リヴァイ
「○○○」
○○○
「?」
リヴァイ
「もう、ここには来るな」
○○○
「え…?」
リヴァイ
「最近ここらも物騒になってきたからな」
○○○
「…」
リヴァイ
「分かり易い顔してんじゃねえ」
○○○
「だって」
リヴァイ
「わかったな」
ぽん、とリヴァイは○○○の頭に手を置くと、立ち上がった。
そのままその場を、後にした。
名を呼ばれた様だったが、振り返るのは止めた。
未練が残る。
.