Dream L

□more and more...
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森の中の、道を歩く。

ガタガタと荷馬車が○○○を追い抜いていった。

ふわ、と森が開ける。

○○○
「!」

工房の前に、見知った顔があった。

彼は○○○に気づくと、こちらを向いた。

エルヴィン
「○○○!」

夕日に照らされて、金色の髪が輝いていた。

○○○はゆっくりと、工房に近づく。

○○○
「どうして、ここが?」

エルヴィン
「ああ、大家さんに聞いてね」

○○○
「あ…」

エルヴィンは一度、○○○の家に泊まったことがある。

エルヴィン
「来ては、ダメだったかな?」

エルヴィンは少し顔を曇らせる。

それはどこか、子供が拗ねているようにも見えて。

○○○
「…ここは」

何と言っていいか分からずに、言葉を止める。

ここは父の工房だった。

恐らく、父が中央憲兵に連れて行かれたのもここだったのだろう。

久しぶりに○○○が来たとき、あちこち荒されていた。

正直、あまり人に知られたくない場所だ。

エルヴィン
「…君にも都合がある。突然来て、申し訳なかった」

先程の子供は形を潜め、いつものエルヴィンに戻る。

○○○
「ううん。…あ、本の続き、あったわ」

エルヴィン
「…そうか、ありがとう。ハンジも喜ぶよ」

○○○
「今持ってく?仮綴じなんだけど…。装丁すると、たぶん1ヶ月はかかっちゃうかも」

エルヴィンに持っていった本は、革の装丁がなされていた。

続きものなら、同じように仕上げたい。

同じ風合いの革を探すところから始めなくてはならないだろう。

でも。

本当に、今彼に伝えるべきことは…

エルヴィン
「そう、しようかな」

○○○
「待ってて」

そう言って、○○○は工房のドアを開ける。

○○○
(いつ、言おう…)

エルヴィン
「それにしても○○○、随分汚れているね」

○○○
「うん、ちょっとね」

地下街の『図書館』のことは何となく言い出せなかった。

○○○は背負っていたリュックを下ろす。

羽織っていたマントを脱ぐと、入り口脇の壁にあるコート掛けに掛けた。

エルヴィン
「!」

エルヴィンはある物に目を留めた。

○○○の白いうなじに、一片の花弁が。

○○○
「!」

振り向いた○○○は、壁とエルヴィンに挟まれた。

エルヴィンは壁に右肘を着いて、○○○に顔を寄せる。

つ、とエルヴィンの指が、○○○のキスマークをなぞる。

○○○
「んっ、な、に?」

エルヴィン
「…隠し事?」

そう言われて、どきりとした。

エルヴィンの顔は笑っているように見える、けど。

エルヴィン
「君は秘密が、多いね…」

○○○
「…?」

何だか、怖い。

エルヴィン
「…ああいった本を、どこから手に入れるんだ?」

本、と言われ、○○○は心なしかほっとした。

○○○
「…あなたも、私を捕まえるの?」

○○○の問いに、エルヴィンはゆっくり体を離した。

エルヴィン
「いや、怖がらせたならすまない。悪い輩に何かされてないか、心配になっただけだよ」

少し空気が和らいだ。

○○○
「そういうんじゃ無いわ。父の…」

エルヴィン
「お父さんの?」

そう言って、○○○はしまったと思う。

あの場所のことを、どう説明すれば…

○○○
「…倉庫、みたいな所があるのよ」

エルヴィン
「それは、どこに?」

○○○
「森、の中よ」

エルヴィン
「そうか…」

エルヴィンは何か考えているようだった。

○○○
「もう、いい?」

エルヴィン
「…ああ」

○○○はするりとそこを抜けると、奥に行って布を持ってきた。

リュックから仮綴じ本を取り出し、布で包む。

○○○
「はい」

それをエルヴィンに渡した。

エルヴィン
「ありがとう」

エルヴィンがいつも通りに笑う。

そのまま、○○○は彼を見送った。






○○○
「…!」

○○○は風呂場で、鏡を見て愕然とする。

○○○
「お、こるよね、これは…」

○○○の首筋には、赤いキスマークが付いていた。

ごし、と擦っても落ちやしない。

○○○
「…」

嬉しい、のと。

申し訳ない、のと。

何とも言えない気持ちで、シャワーを浴びた。

○○○
(明日、エルヴィンに必ず会いに行こう…)

○○○はそう思った。



だが翌日。

調査兵団の兵舎まで行ったのだが。

受付
「団長は調査で外出してます」

○○○
「いつ戻りますか?」

受付
「申し訳ありませんが、お教えできません」

○○○
「じゃあ、明日は?」

受付
「申し訳ありません」

○○○
「…分かりました。じゃあ、○○○が来た、とお伝えください」

兵舎を出ると、○○○は大きくため息を付いた。

避けられているのか、本当に忙しいのか。

○○○
(取り合えず、連絡を待とう)

リヴァイにも会いたかったけれど…

○○○
(けじめはつけないと)

○○○はうん、と背伸びをして、帰途に着いた。


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