Dream L
□Erwin
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どこか店にでも、と言われたけれど、二人でテーブルに着くのが何だか嫌だった。
エルヴィン
「久しぶりだな、こういうのは…」
少し開けた広場には、子供達がボールを追いかけたりして遊んでいる。
その一角に、古びたベンチがあった。
○○○
「忙しいの?」
風に揺らされた枝の隙間から漏れる、木漏れ日が揺れる。
綺麗だと思った。
エルヴィン
「ああ、寝る暇も無いよ」
○○○
「ふうん」
結局パンにソーセージを挟んだだけの物を買って、二人で公園でパクついている。
エルヴィン
「○○○さんは」
○○○
「○○○でいいわよ」
エルヴィン
「じゃあ、俺もエルヴィンでいいよ」
○○○
「団長さんなのに?」
エルヴィン
「構わないよ」
○○○は少し不思議に思った。
○○○
「団長って、もっと威張ってるのかと思った」
エルヴィン
「団員の前では、ね」
○○○
「変な人」
そう言って、思わず笑ってしまった。
エルヴィン
「○○○、君はほかにもこういった物を持っているのかい?」
○○○
「…さあ、見てみないと、分からない」
エルヴィン
「?」
○○○
「…父親が…居なくなって、最近引き継いだのよ、仕事」
エルヴィン
「居なくなって?」
○○○
「…こういう物があったから、なのかな。エルヴィンみたいな服の人に、連れて行かれた」
○○○はエルヴィンが持っている本を見つめた。
エルヴィン
(中央憲兵…)
○○○
「仕事は教えてもらってたら、なんとか出来るけど、時間かかっちゃって」
エルヴィン
「ああ」
だから、腹を空かせていたのか。
○○○
「でも、綺麗な本なのに…可哀想ね」
エルヴィン
「可哀想?」
○○○
「破棄されるんでしょう?」
エルヴィン
「…」
そう、なるのだろうか。
少なくとも、憲兵に渡せば二度と見ることは出来ないだろう。
エルヴィンは○○○を見る。
この子にも、危害が及ぶだろうか。
エルヴィン
「店長とは、付き合いは長いのかい?」
○○○
「父と良く行っていたから、小さいころから知ってる」
エルヴィン
「そうか」
それならば、彼が憲兵に言う事も無いだろう。
エルヴィン
「この本は、私が預かるよ。またこういった本が見つかったら、持ってきて欲しい」
○○○
「…」
エルヴィン
「ちゃんと買い取るよ」
○○○
「それなら、いいわ」
○○○は残りのパンを口にほおり込む。
美味しそうに食べる顔に、思わずエルヴィンの顔も緩んだ。
柔らかな風が、緑の香りを運んできていた。
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