Dream S

□Men Plan, God Laughs
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リヴァイ
「ん…」

眩しくて、目が覚めた。

リヴァイ
(朝か…)

リヴァイは椅子に座ったまま伸びをした。

カーテンの隙間から、白い光が差し込んでいる。



新しい朝。



新しい、年。



リヴァイは立ち上がると、足音を立てずに隣の寝室に向かった。

リヴァイ
「…」

ドアを開けると、ドアの縁に寄りかかる。

○○○はスヤスヤと、口を開けて眠っている。

リヴァイ
「…」

リヴァイはそのまま、部屋に戻った。

燻っていた暖炉に薪をいくつかくべる。

からん、と乾いた音がした。

少し灰をかき回す。

ふわり、と火のついた灰が舞い上がった。



失った物が多すぎた。



これから、いったい何が出来るのだろう。

ゆら、ゆら、と灰が落ちてゆく。



失ったもの以上に、得られるものはあるのだろうか。



リヴァイ
「…」

リヴァイはふう、と息を吐くと、給湯場へ向かう。

ケトルに水を入れ、湯を沸かす。

リヴァイ
(茶葉は、ウバにするか)

しゅんしゅんと音が聞こえ、湯気が上がる。

茶葉を入れ、湯を注ぐ。



リヴァイ
(…こうして日常は、続いて行く)



少し待ち、ポットからカップに紅茶を注いだ。

リヴァイ
「…」

口に含むと、温かさに少し肩の力が抜けた。

リヴァイ
「ん?」

何やら、声、のようなものが外から聞こえる。

リヴァイは窓辺に近づくと、カーテンを開けた。


リヴァイ
「!」


辺り一面、真っ白で、キラキラと輝いていた。


雪が朝日を受けて、光を乱反射しているのだ。



リヴァイは窓辺に寄りかかり、外を見る。

若い兵士達が、外で雪にまみれている。

雪玉を投げたり、大きな玉を作ったり。


雪が固まりづらいのだろうか。

投げた先からキラキラとこぼれてゆく。



光が、兵士達に降り注ぐ。



リヴァイ
「…」




○○○
「…兵長?」

振り返ると、○○○がいた。

リヴァイがカップを窓枠に置くと、○○○は笑って走りより、リヴァイの腕の中に納まった。


ふたりで、兵士達の方を見る。

気づいた一人が、『兵長!』と呼んで手を振った。


○○○
「…綺麗ですね」

リヴァイ
「ああ…。だが」


リヴァイはバタン、と窓を開けた。

リヴァイ
「お前ら、仕事はどうした!」

そう言うと、若い兵士たちは謝りながら散らばってゆく。


笑いながら。


キラキラと、風に飛ばされた雪の粉が窓から入り込む。

○○○
「わ…っ」

○○○は思わず手を伸ばす。

リヴァイは静かに窓を閉めた。

○○○
「ふう。やっぱり、寒いですね」

○○○はリヴァイの腕の中で震えた。

リヴァイ
「…」

リヴァイはそっと、○○○を抱きしめ直す。



リヴァイ
(俺は、果てしの無い戦いに挑もうとしているのか…)




○○○
「兵長…?」

リヴァイ
「…ん?」

まっすぐに、○○○の瞳がリヴァイを捉えた。

○○○
「…ひとりで、抱え込まないで下さいね」

リヴァイ
「…」

リヴァイは返事の変わりに、○○○の額にキスをした。


リヴァイ
(例え、そうなったとしても)


守る、とか。

そんな簡単なものではないが。


リヴァイは○○○を強く抱きしめた。

○○○
「…?」

○○○が不思議そうな顔をして見上げてくる。

リヴァイはその顔を見て、微笑んだ。

ふわり、とその腕を緩める。

リヴァイ
「飲むか?」

そう言って、リヴァイはカップに視線を移す。

○○○
「…はい」

リヴァイは新しい紅茶を入れに、給湯場に向かう。

○○○はそのまま、窓辺に残った。


リヴァイ
(出来ることを、やるしか)


○○○
「兵長、見てください!」

紅茶を入れたリヴァイは、○○○の方を向く。

○○○
「ハートマーク!」

リヴァイ
「!」

見ると、○○○は窓に息を吐いて曇らせ、そこにハートを描いていた。

○○○
「あけまして、おめでとうございます!」

リヴァイ
「…ああ」

リヴァイは○○○に近づくと、カップを渡す。

リヴァイも入れなおした紅茶を口に含む。

リヴァイ
「…」


これからまだ、戦いは続く。


だから、今この時は。

○○○
「…幸せです」

リヴァイ
「そうだな…」



ふわりと湯気が、カップから昇る。


優しい香りが、辺りを包んでいた。


end

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