Dream S

□アドベント
1ページ/1ページ

リヴァイは○○○と、仕事を早めに片付けて街に出てきていた。

○○○
「わあ!」

大きな通りに、クリスマスマーケットが開かれている。

きらびやかな飾りと、美味しそうな香り。

この時期にしか見られない光景だ。

○○○
「兵長!」

○○○は少し向こうで、リヴァイに向かって手を振っている。

リヴァイ
「!」

○○○は何かに気を取られ、人ごみに消えていった。

見回すと、その姿を見つける。

店の前で小さなクリスマスツリーを眺めている。

リヴァイはため息を付くと、○○○の傍に寄った。

リヴァイ
「少しは落ち着け」

○○○
「これ、お部屋に飾りませんか?」

リヴァイ
「…俺のか?」

○○○
「はいっ!あっ、あっち行きましょう!」

○○○はリヴァイの手を引いて、通りの向こうの店に行く。

リヴァイ
「…」

今日の約束をしてからというもの、○○○はずっと落ち着きが無かった。

リヴァイ
(何が、そんなに…)

○○○
「兵長は、何色が好きですか?」

リヴァイ
「色?」

見ると、そこは飲み物を出す店のようだ。

店の後ろの棚に、色とりどりのマグカップが並ぶ。

カップには、クリスマスをモチーフとした絵が描かれている。

リヴァイ
「お前の好きなのを選べ」

○○○
「良いんですか?」

リヴァイ
「ああ…」

○○○
「じゃあ、赤と緑、ひとつずつ!」

店の親父は笑って、大きな鍋に入った飲み物をコップに取り分けた。

リヴァイ
「これは?」

○○○
「グリューワインです」

リヴァイが受け取ったのは、温かい飲み物だ。

リヴァイ
「ワイン?」

○○○
「はい。ワインに果物や香辛料を入れて温めたもので、この時期の名物なんですよ」

リヴァイ
「ほう」

確かに、ぶどうの香りがほんわりと香る。

○○○
「カップが毎年変わるんです。だから、記念にもなるんです」

○○○が指差した所を見ると、年号が描かれていた。

リヴァイはカップに口をつける。

ふわ、と柔らかい香りが鼻腔をくすぐる。

リヴァイ
「…甘いな」

○○○
「でも、温まります」

○○○も笑って、それを口に含んだ。



グリューワインを飲みながら、マーケットの中を歩く。

○○○
「あ!あれ買いたいです」

○○○が指差したのは、カレンダーのようなものだった。

リヴァイ
「カレンダーなら、部屋にあるだろう」

○○○
「これは、アドベントカレンダーです」

リヴァイ
「アド…?」

○○○
「25日までの間、ひとつずつこの箱を開けて行くんです」

箱型のカレンダーは日付毎に分けられており、中に何か入っているようだ。

○○○
「ツリーの飾りだったり、お菓子だったり。色々入ってるんですよ」

リヴァイ
「ほう」

店を見ると、星の形や、サンタの形をしたもの。

様々な形のアドベントカレンダーが並んでいる。

○○○
「どれにしようかな…。兵長は、どれが良いですか?」

リヴァイ
「…その、赤いのは」

何がいいのか良く分からなかったが、取りあえず目に留まったものを言ってみた。

○○○
「あ、これお菓子のやつですね」

これにしよう、そうつぶやくと、○○○はそれを店員に渡した。

○○○
「25日、楽しみだなあ…」

袋を抱え、○○○は幸せそうに微笑む。

リヴァイ
「…」

○○○
「兵長は、楽しみじゃないんですか?」

リヴァイ
「いままで、あまりこうした事はしてこなかったからな…」

特段興味は無かったし、それ所じゃ無かったのもある。

○○○
「私は、楽しみです」

リヴァイ
「…そうか」



○○○
「兵長の、誕生日だから」



リヴァイ
「…!」



○○○は照れたように、ふふ、と笑った。





日はもう沈み、街中のライトが輝きを増している。

飲み終わったマグカップは袋に居れ、二人で歩く。

○○○
「…」

○○○はそっと、リヴァイの肘に手を掛ける。

腕を組んでも、リヴァイは特に振り払うでも無かった。



リヴァイ
「…○○○」


不意に名を呼ばれて、○○○はリヴァイを見る。


○○○
「…?」


リヴァイはとても優しい顔をしていて。


リヴァイ
「…」


○○○
「…!」


リヴァイは組んでいた○○○の手に、そっと触れた。





後日、リヴァイの執務室のテーブルに、小さなツリーが置かれていた。



end



 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ