Dream S

□The gates of Halloween
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ハンジ
「なんでそれなのさ!」

今日は10月31日。

調査兵団は、ハロウィンの仮装パーティー中である。

食堂は黒とオレンジで飾られ、少しではあるが酒と人の形の菓子パンが振舞われている。

思い思いに仮装した兵達が集まり、楽器を弾く者も加わって賑わいでいた。

リヴァイ
「俺の勝手だ」

ハンジ
「もう少し、獣耳とか、ヴァンパイアとか、女装とか…!盛り上がりそうなのあっただろう?」

リヴァイ
「…」

ハンジ
「協力してくれたっていいだろうに」

リヴァイが着ているのは、おばけ。

シーツに目と口をつけて、頭から被っただけのような物だ。

一応仮装らしく、シーツからちらりと見えるブーツはもこもこの黒のショートブーツに変えてある。

リヴァイはその格好で、どっかりと椅子に座っていた。

リヴァイ
「そういうお前は何なんだ」

ハンジ
「え?巨人」

リヴァイ
「さっさとどこかに行け。削ぐぞ」

ハンジはつまらないなぁと呟きながら、その場を離れていった。

被ったシーツ、もとい、仮装の下からはちみつ酒を飲む。

この格好だと誰だか解らないのだろう。

話しかけられることも無く、じろじろ見られることもない。

リヴァイは思いの他快適だった。



酒も一通り飲み終わり、リヴァイは歩き出す。

ふわふわのブーツが、歩きづらい。

ぽこぽこ歩いていると。

ヴィック
「なあ、俺達と飲まない?」

男に声を掛けられた。

リヴァイ
「…遠慮する」

ヴィック
「!」

カール
「おい、馬鹿行くぞ!」

そそくさと男達が去ってゆく。

リヴァイだとは気づかないのか、どうなのか。

リヴァイはあいつら後で締める、と思いながら、廊下に出た。



にぎやかな声に紛れて、それは聞こえてくる。

リヴァイはその声の方へ、歩いていった。




兵舎を出る。

流石に仮装中、内部に人を入れるわけには行かない。

門はしっかりと閉まっていた。

それは次第に、音を成す。


『リヴァイ』


『兵長…』


リヴァイは門に近づく。

鉄柵の向こうに、懐かしい顔が見えた。

リヴァイ
「ようやくお出ましか」

彼らは答えない。

リヴァイ
「あんまり来ねえから、地獄ってのはよっぽど快適なのかと」

ただリヴァイの名を繰り返す。

リヴァイ
「…」

見知った顔、懐かしい顔。

触れるのか、と。

リヴァイが柵の隙間から手を伸ばした時だった。



○○○
「兵長!」



声を掛けられ、振り向くと○○○に抱きつかれた。

リヴァイ
「…○○○」

○○○
「もうどこ行ってたんですか!探しましたよ」

リヴァイ
「酔っ払ってんのか」

○○○
「酔ってません!」

その赤い顔で何を言う。

リヴァイは○○○の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

○○○
「そこが手なんですね」

リヴァイ
「どうして俺だと分かった?」

○○○
「…?歩き方とか、かなあ。何となく」

リヴァイ
「俺じゃなかったらどうするんだ」

○○○
「それは、ハロウィンのご愛嬌、ってことで!」

リヴァイ
「ほう」

○○○
「?」

リヴァイ
「他の男に抱きついてもいいと?」

○○○
「…!!そうは言ってないです!違います!第一、間違ってませんからっ!!」

慌てて否定する○○○に、リヴァイは笑う。

リヴァイ
「所でお前、その格好」

○○○
「ああ、悪魔祓いらしいです」

そう言って、○○○はリヴァイから少し離れる。

そうして、くるり、と回って見せた。

リヴァイ
「!」

シンプルな、修道女のような衣装かと思いきや。

ロングスカートには、太ももまでの大きなスリットが入っていた。

リヴァイ
「おい。これは一体どういうことだ」

○○○
「!」

リヴァイはバサリ、と○○○におばけを被せた。

シーツの中に、二人きり。

リヴァイはスリットに手を入れると、するり、と○○○の太ももを撫でる。

○○○
「!、こ、れでも露出の少ない物を選んだんです…」

リヴァイ
「ほう」

リヴァイの手が、またもするりと○○○の太ももから胸辺りを確かめるようになぞる。

○○○
「っ…!」

露出は少ないが、衣装がぴたりと体に添っていて、そのラインを強調させる。

リヴァイ
「危機感が足りねえ」

そう言って、リヴァイは○○○の腰を抱く。

○○○
「!」


リヴァイ
「…Trick or Treat?」



○○○は少しためらった後。

小さく小さく

○○○
「お菓子、無いです」

顔を赤くしてそう言った。

そっとリヴァイの唇が、○○○に落ちてくる。

○○○
「ん…」

リヴァイ
「○○○…」


ひゅ、と強い風が吹き、おばけの衣装を吹き飛ばした。

○○○
「!」

リヴァイはぱしり、とその端を掴む。

○○○
「…寒いですね」

リヴァイ
「入るか」

そう言うと、○○○は笑ってリヴァイの手を引いた。

リヴァイは後ろを振り返る。

柵の向こうには、もう誰もいなくなっていた。

○○○
「兵長?」

リヴァイ
「いや」

リヴァイは○○○の方を向くと、兵舎に入っていく。



自分が向こうに行くのは、いつになるのだろうか。

そんな事を、思いながら。



end…?
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