Dream S
□Serious man
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○○○
「はあ…」
○○○は憂鬱な気分で廊下を歩いていた。
○○○
(分隊長、なんだろう。新しい配属の事かな…)
先日リヴァイから言われた言葉。
リヴァイ
『明日から来なくていい。今後の事は追って連絡する』
○○○
「はあ…」
何か粗相をしたのだろうか。
リヴァイの執務官になって半年。
出来ることはしてきたつもりだし、それに…
○○○
(傍に居れて、嬉しかったんだけど…)
思い出すと泣きそうになるので、○○○はぐっと顔を上げ、歩く速度を速めた。
ハンジ
「どうぞ」
ノックをするとそう聞こえたので、そのまま入る。
ハンジ
「あれ?○○○か」
○○○
「あ、すみません。早かったですか?」
時計を見ると、予定より15分ほど早く着いていた。
ハンジ
「うーん。これから人が来るんだよ。少しこっちで待ってて貰えるかな?」
そう言って、隣の仮眠室へと通される。
ハンジ
「適当に寛いで!」
ハンジは部屋を出て行った。
○○○
(うーん…)
ハンジが使っているのは、リヴァイのものと同じ作りの執務室だ。
ただ、その様相は大分違う。
○○○
(あ、下着とかまである)
部屋は本で溢れていて、足の踏み場も無いほどだった。
積み重ねられた本の隙間から、服が覗いている。
○○○
(…本、は触らないほうが良さそう、だよね)
待っている間することも無いので、取りあえず服を片付け始めた。
○○○
(…?)
隣から声が聞こえてくる。
見ると、ドアが少しだけ開いていた。
ハンジの言っていた待ち人が来たのだろうか。
ハンジ
「だから、きちんと説明して欲しいんだよ」
リヴァイ
「言っただろう。個人的なことだ」
○○○
「!」
リヴァイ、だ。
ハンジ
「個人的な、って…」
リヴァイ
「大体、なんでお前に理由を話さなきゃならねえんだよ」
ハンジ
「○○○は元私の班の子だからね。それにエルヴィンは今日、おじいちゃん達との会合があるから」
リヴァイ
「ああ…」
ハンジ
「あなたの出した、○○○の配属先の希望。…エルヴィンの所がいっぱいだったらどうするの。あの子ただの一兵卒に逆戻りだろう?」
リヴァイ
「…」
ハンジ
「エルヴィンは俺の言うことなら聞く、とでも言うわけ?」
リヴァイ
「…いや」
ハンジ
「○○○は母一人子一人だろう?手当ても増えて、仕送りも増やせたって喜んでたのに」
○○○
(分隊長…)
○○○は聞き耳を立ててしまっていた。
これ以上、聞くべき話では無いとは思ったけれど。
ハンジ
「その、個人的な理由ってのは何?彼女何かやらかした?」
リヴァイ
「…いや、あいつに否はない」
ハンジ
「じゃあ、性格がむかつく、とか?」
○○○
(分隊長…!)
それでイエスと言われたら、居たたまれない。
リヴァイ
「…」
ハンジ
「私が見る限り、二人はそんな雰囲気でもなかったと思うけど」
リヴァイ
「…もういい。次は男の執務官にしろ」
ハンジ
「あ、待ってリヴァイ。それって…」
リヴァイ
「…」
ハンジ
「彼女に告白されたとか、迫られた、とか?」
リヴァイ
「…」
ハンジ
「…そう言う事なら、仕方ないけど」
リヴァイ
「…いや、そうじゃねえ」
ハンジ
「そう?まあ、彼女はそういう事はしなさそうだけど」
リヴァイ
「だから、俺個人の問題だといっただろう」
ハンジは首を傾げる。
それ以外にどんな理由があるのだろう。
もしかして。
いや、まさか。
そう思いながら、リヴァイに聞いてみることにした。
ハンジ
「…それって、あの子が好き、ってこと?」
○○○
(え!な…)
思わず、○○○は抱えていた服を落としそうになった。
まさか、そんな。
リヴァイと仕事をしていても、そんな素振りは感じたことが無かった。
リヴァイ
「…」
リヴァイは黙ったままで居る。
ハンジ
「…否定しないって事は、認めるんだね」
ハンジの真面目な声が響く。
リヴァイ
「…俺なりに、考えた結果だ」
リヴァイはそう、言った。
ハンジ
「仕事が手に付かない?それとも、壁外調査に向かわせたくない?」
リヴァイ
「…両方だ」
ハンジはおどけて、ひゅう、と口を鳴らした。
ハンジ
「あなたの口から、そんな言葉が聞けるとはね」
リヴァイ
「しゃべりすぎだクソメガネ。手当てが問題なら、俺の給料から引いておけ」
ハンジ
「ちょ、そういう問題じゃないだろう。それで、○○○には振られた、そう言う事?」
リヴァイ
「どうしてそうなる…」
ハンジ
「…!じゃ、まさか何も言っていないの?」
リヴァイ
「それがどうした」
ハンジ
「…あのねぇ、二人の関係が悪化した、というならエルヴィンを説得できるかもしれないけど」
リヴァイ
「俺の仕事の邪魔になる。それでいいじゃねぇか」
ハンジ
「…リヴァイ」
リヴァイ
「ん?」
ハンジ
「あなたは、それで良いの?」
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