Dream S
□notice
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それはすべて嵐のせい。
兵長に後ろから抱きすくめられている。
歯の根が合わないのだろう、カチカチという音が時折響く。
○○○
(熱、あがる、のかも)
あの時アンカーが、もっとしっかり刺さっていたなら。
訓練林での訓練の最中、突然の豪雨に
○○○の刺さっていたアンカーが外れた。
そのまま吹っ飛んで行った
○○○を拾ってくれたのが兵長だった。
と、そこまでは結構ある話。
誰かしらのミスに対して、フォローが一番早いのは兵長だから。
その後の雨は、止むどころか強さを増し。
日が暮れたのかさえ分からなくなるほど、空はいつまで経っても明るさを取り戻さなかった。
びしょ濡れで漸くたどり着いた、小さな宿。
案の定、雨宿りの人達で部屋は無かった。
女将
「…女の子連れじゃあねぇ」
そう言って、女将は従業員の仮眠室を貸してくれた。
シングルベッドと小さな机、椅子。
それが小さな部屋に詰め込まれていた。
女将
「風呂も落としちまったから、これで我慢しておくれよ」
女将は小さな樽にお湯を、あとはバスローブとタオルを持ってきてくれた。
女将
「樽は部屋の外に出しといてくれれば良いから」
○○○
「ありがとうございます」
女将はいいのよ、と人の良さそうな笑顔を作ると、部屋に戻っていった。
パタン、とドアが閉められる。
ぼう、っとしたランプのオレンジ色の光が部屋を照らし出していた。
相変わらずの、雨の音も響いている。
リヴァイ
「○○○」
○○○
「!、はい」
リヴァイ
「さっさと脱げ」
○○○
「!」
見ると、リヴァイはすでにもうマントを椅子の背にかけ、立体起動も解いていた。
置いてあったタオルを手に取ると、それで頭を拭く。
リヴァイ
「部屋の外に居る。終わったら声を掛けろ」
○○○
「あ、の…」
パタン、とドアが閉まる音がした。
○○○
「…」
さすがというか、なんというか。
○○○
(…お湯、冷めちゃう)
○○○は漸く、マントを肩から下ろした。
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