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「午後からは――」


目の前で繰り広げられている、いつもと変わらない光景。
なんとか陛下にすべての議に出席してもらええるようにと念を押す臣下、適当に返事を返す陛下、それらをよく思わない人、面白がる人。


「分かった分かった、いつまでも元気だな。爺さん達は」

「陛下!」


カラカラと笑う陛下に、大臣方の顔は険しくなるも、陛下には何も通用しない。
きちんとお伝えしましたぞ、としぶしぶ謁見の間から出て行く数人の背中を見送り、扉が閉まるのを確認してから、玉座に座る陛下へと振り返る。


「さて、愛でに行くか」

「ガイラルディア様が散歩へとお連れしています」

「じゃあ可愛くない方のジェイドでも」

「研究所へと足を運ばれており、明日戻られるかと」


肘掛けに肘をつき溜め息を吐かれるお姿は、少しばかり憂いを帯びている。
ああ、とても綺麗だ。月並みの言葉ではあるが、それしか言葉に出来ない気がする。

わたしがいます。お側に。
この命尽きるまで。

名乗りを上げることは、この先一切ないだろう。

ですが、どうかお側にいる事をお許し下さい。


(貴方と結ばれるという未来に手が届くことはないけれど、貴方が作り出す未来に手が届けばいいな)


2018.01.06


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