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「白雄様は、遠いところへ行かれたのですね」
「サキ、」
「良いのです、紅炎お兄様」
私は平気なのです。
元より不釣り合いと言われ、周りからはあまり理解など得られることはなかったのですから。
相応の関係になってしまっただけのことです。
私は、悲しくはありません。
いつか、国のために嫁がねばならない身。
その時が来るまで、私は、大人しく過ごします。
「悲しくなんて、ありませんわ」
どうか、頬を伝うものに、何も言わないでください。
胸を締め付ける痛みも、わたしは見て見ぬフリを致します。
だから、何も、何ものにも気付かないでくださいませ。
「俺が、お前を守ろう」
きっと、声に出してしまったら、お兄様は起こるでしょうね。傷付くでしょうね。
力強くも優しいこの抱擁が、愛しい白雄様のものに、とても似ているということを。
白雄⇆ヒロイン←紅炎
むっくわっれなーい
2016/09/02