受験生!

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夕日に照らされた教室にて。あたしは談笑していた友達に、ふと思った質問をぶつけてみた。



「そういやさー、青峰どこ受けんの?」

「あ?桐皇」

「……うっそだー」



飛び出してきた意外な高校名にそう呟けば、ふざけんなと頭を小突かれた。

志望校はなんとなく決めてた。それでもなんとなくだから、1年から同じクラスで腐れ縁な青峰と一緒のとこもいいかなとか思った。

が、聞いてみた結果がこれだよ。無理だわこれ。無理。桐皇って偏差値高いんだもん。

ってか、偏差値的によく桐皇にしたな。頭の中バスケと飯と寝るのとザリガニと蝉しかない頭で、どうやって受かるんの。



「よく受ける気になったね」

「あー……スカウト来たんだよ。スカウト」

「そういうことか」



なるほど、スポーツ推薦というやつか。

今の代、といっても3年だから少し前に引退はしてしまったけど、10年に1人の天才が同時に5人もいた、帝光バスケ部。

そしてその5人はキセキの世代と呼ばれていて、その内の1人でエースが、この巨乳好きのガングロクロスケ青峰だ。

青峰の頭は、全部バスケの才能に持ってかれたんじゃないかと密かに思ってたりする。

ちなみに、ガングロクロスケというのは、青峰の幼馴染みである桃井さんからの受け売りだ。言い得て妙というか、ぴったりである。



「桐皇かあ。入るのはいいけど、青峰は留年しそう」

「おい!」

「だって青峰の頭じゃ、ねえ……」

「……さつきに教えてもらう」

「高校って大変らしいし、付き合ってくれるかどうか」

「……」



桃井さんも桐皇らしいけど、恐らくバスケ部でマネージャーをやるんだろうし、自分のことで大変なんじゃなかろうか。

少なくとも、練習に出なくなって、冷めた目をするようになった青峰よりかは。



「ならよ、みょうじも来ればいいじゃねーか」

「はあ?どこに」

「桐皇」

「無茶ぶり言うなよ」

「ベンキョー教えろ」

「いやいやいや」

「お前教えんの緑間より上手いし」

「緑間君と考え方が違うだけだけだと思う」

「赤司よりも上手いし」

「青峰の頭が、あの赤司君が匙を投げる程なんじゃん」

「……ふん」

「おだてたって、何も出ないよ」



そう言うと、青峰は拗ねたようにそっぽを向いた。かと思えば、チラッとあたしを見て、



「……友達だろーが」



と、ぼそりと呟いた。

照れ臭そうに再びそっぽを向いた青峰の頬は、赤い。

それは窓から射し込む夕日のせいなのか、ただ単に照れてるのか。

あ、まだ変わる前の青峰だ。と感覚的に思ったり。



「……そーだね。考えとく」

「……おー」



とりあえず今は、冷やかしてくる男共を青峰と蹴散らしてやろうと思う。





***
青峰とはほんとに友達なだけ。

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