短編(女体化)

□あんずちゃんとラブロマンス
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※あんずちゃんは女子なので女体化ではないですが、百合夢ということで、こちらにあげさせてもらいます。














あんずちゃんが好き。大好き。

その気持ちが友情から恋愛感情に変わったのはいつからだったろう。

仕事をする彼女の姿を尊敬していたはずなのに、心配になって、アイドル達と接する彼女を見て不安になるようになってしまったのは何故なんだろう?


「夢咲ちゃん?」
「わっ!あ、あんずちゃん!?」
「どうしたの?こんな所でぼーっとして…」


渡り廊下のど真ん中で立ち尽くしていた私を心配したのか彼女は心配そうに私の顔をのそぎ込んできた。

その近さと香ってきた良い香りにクラクラする。


「な、なんでもないよ!ちょっと考え事してて……」


慌てて取り繕って笑えば、あんずちゃんは僅かに眉根を寄せ、ムッとした顔で私のほっぺたを抓った。


「無理しちゃダメだよ」
「っ……う、うん」


頷くと綺麗に微笑んだ彼女は小さく手を振って次のプロデュース目掛けて駆けていく。

その後ろ姿が角を曲がって見えなくなるまで見送って、私はフェスの企画書を出しに職員室へと向かった。









無事に企画書の案が通り、私は参加してもらう天祥院先輩とガーデンテラスで紅茶とお茶菓子を頂きながら話し合いをしていた。


「……うん。今回の企画も良い感じだね」
「ありがとうございます。先輩にそう言ってもらえると自信が湧いてきます」
「ふふっ。夢咲ちゃんは素直で可愛いね」


ニコニコ笑いながら紅茶を飲む天祥院先輩は今日も優雅で本音が見えない。

可愛いという言葉に恐縮して縮こまっていれば、天祥院先輩は更に笑みを深くして口を開いた。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。別に取って食ったりしないからね」
「さすがにそれは心配してないです。けど、」
「けど?」
「……やっぱり、天祥院先輩みたいな綺麗な人に可愛いって言われたら恥ずかしくもなりますよ」
「そうかい?君のことはみんな可愛いと思っていると思うけれど…」


その言葉に驚いて首を振った。


「いやいや!私なんか別に……それにあんずちゃんのほうがずっと可愛いですし!」
「あんずちゃんのほうが、ねぇ?けれど、そのあんずちゃんも言っていたよ。夢咲ちゃん可愛い!ってね」
「え……」
「ふふっ。顔が真っ赤だよ」


可愛いね。と再び言った天祥院先輩に私は暑い頬を手で押さえて少し俯いた。


「天祥院先輩!」


そこに凛とした少し鋭さを含んだあんずちゃんの声が響いた。

驚いて顔を上げると無表情に少し怒ったような顔をしたあんずちゃんが天祥院先輩を見つめていた。


「なんのお話をしていたのかわかりませんが、あまり夢咲ちゃんを困らせないでください」
「ん?困らせたかな?」
「い、いえ!」


天祥院先輩に聞かれて私は顔を上げ首を振った。

困ったというか、少しテレただけですし。


「っ……!」
「あんずちゃん…?」


私の顔を見て何故かショックを受けた様子のあんずちゃんに私が首を傾げると、あんずちゃんは私の手を引いた。


「すみません、先輩。ちょっと夢咲ちゃんに用事があるので失礼します」
「え!?」
「ふふっ。気にしなくていいよ。ごゆっくり〜」
「えぇ〜!?」


私はあんずちゃんに手を引かれ、ガーデンテラスを後にした。










「あの……あんずちゃん?」


あんずちゃんに着いて行った先は今日は誰も使う予定のない教室だった。

黙っていたあんずちゃんに声をかけるとあんずちゃんはバッと掴んでいた私の手を離した。


「ご、ごめんね。つい」
「ううん。別にいいんだけど用事って?」
「あ、あれは嘘なの……。その、天祥院先輩と楽しそうにお茶してたり、夢咲ちゃんの顔が紅くなってるの見たら頭に血が登っちゃって……!」


そう言ったあんずちゃんは恥ずかしそうに顔を紅くしていた。


「あ、あのね。私が紅くなってたのは天祥院先輩があんずちゃんの話しをしたからだよ」
「え?」
「あんずちゃんが私のこと可愛いって言ってたって聞いて……それで」
「それって、夢咲ちゃんが紅くなってたのは私のせいってこと?」
「そ、そうです……。あんずちゃん本当に私のこと可愛いって言ってくれたの?」
「…………うん。可愛いって言ったよ。いつもそう思ってるし、夢咲ちゃん以外の人には多分、みんなに言ったかも」
「え!?」


あんずちゃんが紅い顔のまま私を見つめた。


「気持ち悪いかな?女の子なのに女の子の夢咲ちゃんが好きなんて……」
「そんなことない!嬉しいよ」
「本当に?」
「うん。私もあんずちゃんのことが好きだから」
「……ありがとう。嬉しい」


あんずちゃんがふんわり笑う。

その笑顔の威力に私は俯いてそんな私をあんずちゃんは抱きしめた。

その背に腕を回して抱きつけば耳元であんずちゃんが嬉しそうに小さく笑った気がした。

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