短編(女体化)
□零と幼馴染み
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私の幼馴染みの朔間零は美人でスタイルが良くてとっても私に構う。
「夢咲や〜」
帰り支度を済ませ、教室を出ると優しく抱きしめられ頭を撫でられた。
いつものことだから驚かないけど、私なんかとは比べ物にならない立派な胸ががっつり当たっているのは毎回気になった。
「零…」
よしよし〜可愛いの〜大好きじゃよ〜愛しておるよ〜とこれでもかとゆうぐらい頭を撫でまくってスリスリと頬擦りしてくる零を見上げれば零は緩みきった表情を私に向けてきた。
「なんじゃ?どうかしたのかや?」
「……今日はどうしたの?」
「んん?ただ、今日も頑張った可愛い夢咲を愛でたくなっただけじゃよ♪」
零は、このように何かと理由をつけて毎日私を撫でまくる。
その理由はわからないけど、嫌じゃないから別に気にしないことにしている。まぁ、鬱陶しいし夏は暑いから毎日は勘弁してほしい気持ちはあるけれど。
「零。そろそろ私、帰らなきゃ」
そう口にすると毎回、零は私から身体を離して寂しそうな顔をする。
零はほとんど家に帰らず軽音部部室にある棺桶で寝泊りしているから、みんなが学校から出ていってしまうこの時間が寂しくて嫌で仕方ないのだと思う。
まぁ、じゃあ帰れよって話しだけど零にも棺桶に寝泊まりしてでも帰らない理由があるのだろう。
「そうじゃのう……。もう外も闇に包まれてしまうからのう」
「うん。暗くなる前に帰りたいから」
「……でも、妾はまだ夢咲と別れたくないし…」
じゃからー
と、零は私の手をそっと握った。
「久しぶりに一緒に帰るとするかのう♪」
そう言って楽しそうに笑う零の言葉に驚いたけれど、断わる気なんて起きるわけもなく手を引かれて歩き出した。
「でも、大丈夫なの?」
「何がじゃ?」
「零がいきなり家に帰ったら凛月、怒るんじゃない?」
零の妹の凛月は零のことを邪険に扱っている。
零は凛月のことが可愛くて可愛くて仕方ないみたいだけど。
大丈夫かな?と思って聞いてみると零はしょんぼりと項垂れた。
「うぅ……確かに凛月は妾に会ったら嫌そうにするじゃろうな…まぁ、そんな凛月も可愛いがのう」
あぁ……きっと嫌がられてもいつも私にするように抱きついて頭を撫でようとするんだろうなぁ……。
零と凛月が争う姿が容易に想像できる……。
「もう。あんまり凛月にちょっかいかけると後が怖いんだから気をつけてね?」
この姉妹の間で何かトラブルがあると必ず私に飛び火するのだから。
「じゃあ、凛月に振られたら夢咲に慰めてもらおうかのう」
「えぇ。嫌だよ」
ほら、やっぱり私に迷惑かける気満々じゃないか。
「うぅ……夢咲は妾を振るのか?酷いのう」
「振る振らないの話しじゃないでしょ?そもそも私、告白された覚えないしそんなのありえな……零?」
ふと、私の手を引いて前を歩いていた零が歩みを止めて立ち止まった。
ただならぬ空気を感じて、再び零の名前を呼ぼうと口を開こうとした瞬間、くくくっと零は笑った。
あきらかに様子のおかしい零の名前をなんとか呼ぶと握られた手に力が込められたのがわかった。
「ありえない?何がじゃ?妾が夢咲に告白することが?」
それは、妾が夢咲を好きなことがありえないとゆうことかのう?
「ど、どうしたの?」
こちらを向かず立ち止まったままの零の背中に声をかけるとやっと零は振り向いた。
「妾、毎日夢咲に好きだと伝えておったんじゃけど」
零の顔を見た瞬間、あぁ零は怒っているんだと気づいた。
いや、雰囲気や声色でなんとなく気づいてはいたのだけど。
「好きって……だってそれは私が幼馴染みだから親愛の意味でしょう?」
いや、違う。そうじゃないことなんて、この状況が語っていた。
そうじゃないから零はこんなに怒っているのだ。
「違う」
零はハッキリ私の言葉を否定した。
「妾は幼馴染みとかそんなの関係なく夢咲が好きじゃよ。ずっとずっと夢咲に恋愛感情を抱いておるんじゃ」
そう言われて私はなんだかつらくなった。
今まで幼馴染みだと思っていたのは私だけで、零はもっと違う目で私を見ていたのだ。
一番信頼していた大切な友人は私を純粋に友達だとは思っていなかった。
その事実が突きつけられた瞬間だった。
「なぜ、泣くんじゃ?」
「ごめんなさい……っ。ごめん、零…」
私は零と仲の良い幼馴染みでいたいの。
「それが夢咲の答え、か…」
「私は、零のことそうゆう目で見れないの……っ」
ポロポロ涙を零してそう言うと、零は傷ついた顔をしてうつむいた。
「零……」
ごめんねと泣きそうになっているであろう零を抱きしめようと近づこうとした瞬間、繋いでいた手をいきなり強く引かれ、次の瞬間には私は零の胸に顔を埋めていた。
く、苦しい……。
息がしづらくてもがくと泣いていると思っていた零は笑った。
「くくっ。擽ったいからあまり動かないでほしいのじゃけど」
「っ……ちょ、と!?」
なんとか胸から顔を上げて零になんなのかと聞こうとしたのに、何故か私は零に唇を奪われていた。
「っ……ふっ」
私は驚いて慌てて離れようとしたけれど、美女には似合わないほど強い力で抱きしめられているせいで逃げられない。
「んっ……れ……っ!」
「ふふっ。可愛い」
やっと、零が私から唇を離したと思ったら、私を抱きしめている零の手が背中を撫でたりと、どことなくいやらしい手つきになって私は焦りを感じた。
「妾はずっと夢咲が好きなんじゃよ?それを拒むなんて許さない。妾は毎日夢咲に好きと伝えていたはずじゃ。それを夢咲は一度も拒絶したことはなかったではないか。のぉ?」
「零、やめてっ離して……っ!」
必死にそう言うけれど零はまったく聴く耳を持たずニッコリと微笑んだ。
いつもならつられて笑い返していたところだけど、この状況でそんな風に綺麗に笑えるのが恐ろしくて私は顔を逸らした。
「ん〜、ダメじゃよ。ちゃんと妾を見ておくれ?夢咲は妾だけを……」
そう言って零は私の顔を無理やり自分の方に向けると有無を言わさず再び私の唇を奪った。