ワンライのお部屋3(2018.4〜   )

□ ハロウィン (恋人は専属SP/桂木大地) 2019.10.26
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SPルームを訪ねると、そこには愛しい彼の姿。

「あれ?お一人ですか?」

「ああ。間もなく皆も戻るはずなんだが・・・」

いつもは賑わっているこの部屋に、今は私たちだけ。
プレゼントを渡すには、絶好のチャンス。
逸る気持ちを抑えながら、彼に近づく。

「お誕生日おめでとうございます!」

一瞬、キョトンとした顔をして、それから、ああ、と思い当たったように。

「この歳になると、自分の誕生日も忘れてしまうな」

「ふふ、そういうと思ってました。これからは、毎年私が思い出させますね!」

「そうしてくれると嬉しいよ」

「普段は忙しい大地さんだから、誕生日くらいは喜んでほしいです」

「誕生日か・・・だから、という訳ではないが、その、ひとつやってみたいことがあるんだが・・・」

(大地さんからのお願いなんて珍しい)

「いいですよ、私が叶えられることなら」

コホン、と小さく咳払いをして

「トリックオアトリート」

「え?」

「あれ、違ったかな。確かそらが、そう言ったような気がしたんだが」

「いえ、合ってます合ってます!ただ、その、意外っていうか」

”鬼の班長”の口から、まさかのこのセリフ。

(可愛い、なんて思ってしまった)

「そうだよな、こんなオッサンがこんなこと」

「もう!大地さんはオッサンじゃないって何度も言っているのに!」

「冷静になると、照れくさいな・・・」

「ふふっ。そらさんに聞かれてたら、ひやかされそうですね」

「・・・そうだな。それで、その、答えは・・・」

「お菓子は・・・今、持っていません」

「じゃあ、イタズラをしてもいいということだな?」

「えっ?あの、でも、ハロウィンは31日ですよ?」

「そうなのか?言うタイミングを間違えてしまったな・・・」

頭をかきながら、目線を下げて戸惑う大地さん。
その姿に、ほだされた訳じゃないけれど・・・

「31日も会えるかわかりませんし、今日で・・・いいです・・・」

「・・・そうか。それじゃ、一緒に帰ろう」

「皆さんを待たなくていいんですか?」

「正直、待っている時間も惜しいし、キミとあいつらを会わせたくないな」

そんなストレートに言われたら。
私も、一時の時間も惜しいような気がしてくるのだった。




(やべっ、班長たち出てくるかも)
(だから早く部屋に入りましょうって言ったじゃないすか)
(でも、お二人の邪魔はできない雰囲気でしたよね?)
(桂木さんも、アイツの前じゃあんななのか・・・)



2019-10-27
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