ワンライのお部屋3(2018.4〜   )

□ 雨上がりの夜空 (恋人は公安刑事/難波仁) 2019.6.29
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このままいつまでも続いていくと思っていた

最初はほんの些細な違和感
――小さなかけらの様なもの――
まるで、あの不正を見つけた時のような、些細な…

調査なら、1人でなんとか解決できることもあるだろう
だけど、2人の問題は、俺1人じゃ、まして彼女1人じゃどうこうできるものではなく

綻びは、少しずつ広がって
あの日、置いていかれた指輪と1枚の紙

「じゃあね」
雨もやのせいで、顔が見えねぇ
本当に、お前は…

後に残ったのは、大きな喪失感
無くして初めてわかるってヤツか…

あれからずっと心に降り続いていた雨


* * * * * *


「室長、こんなところにいらっしゃったんですか」

俺を呼ぶ、ひよっこの青くさい声
頼りないが、明るく前向きなその声は
俺の心の雨もやを晴らしてゆく

どこかで宵が明ける気配

いや、まだ雨が上がっただけだ
朝は、まだ――

久々の星空に目を奪われる
次こそは、背負うものを間違えずに進んでゆくと、あの日の彼女に誓った

(なんて、柄じゃねぇけどな…)



2019-06-29
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