ワンライのお部屋3(2018.4〜   )

□ ときめき (大人の初恋はじめます/御園一弥)  2019.6.15
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「ヒロくん、だーい好き!」
「ありがとう、結衣ちゃん。俺のどこが好きなの?」
「えっとね、カッコイイところと優しいところ。背も高いし、笑った顔も好きー!」

ニコニコしながら私を見ているヒロくんの顔。
すごく、すごくドキドキしちゃう!

「あとはね、あれ?ヒロくん何処に行くの?
ヒロくん、待って…ヒロくん!」


ガバッ

自分の声で目が覚める。

なんだ、夢か…それにしても小学生の頃の夢を見るなんて。

「おい」
「え、あ、ひゃい!」

横には、もちろんヒロくんではない、彼。

「人の隣で眠りながら、他の男の名を呼ぶとはどんな神経してるんだ」

不機嫌そうな表情の一弥が、私に問い詰める。

「何か、言ってた?」
「ああ、思いっ切りな。待って、ヒロくん!だったか?」

ああっ、しっかりと聞かれていた !

「それで?どんな夢だったんだ?」
「ど、どんなのだったかな…」

その瞬間、不機嫌そうだった顔が近づいて

「言え」
「こ、子供の頃の夢だよ?ヒロくんに置いていかれるっていう…」
「だーい好き、とも言ってたな」
「え、そ、それは…」

不機嫌そうだけれど、反面からかっているような一弥の視線。

「小学生のヒロくんに、どこが好きか聞かれて答えてる夢だよ…」
「それはまた、お前らしいな」
「でも!今は違うから!今は一弥にしかときめかないから!」
「へぇ…」

少し嬉しそうな表情に、誤解が解けたのだと
安心したのもつかの間。

「じゃあ、俺のどこが好きか答えてみろ」
「ええっ、どこって…」
「答えられないのか?広樹さんには答えたんだろ?」
「そ、そうだけど…」

(今さら恥ずかしくて言えるわけない!)

「意地悪…」
「何か言ったか?」
「ああもう!だから、そういうところも好きなの!」

勢いに任せ、答えになってるような、なっていないような返事をすると…

「一弥、顔、赤い?」
「うるさい、見るな…」
「照れ顔!レア!」
「だから見るなと…」

ふふっ、そんな顔が見られるなんて!
今まで疎遠だった分、これからは些細な事でもときめいていけるのだなぁ

なんて、密かに胸を踊らせながら…
一弥の温もりが残るベッドにもぐり直した。

起床時間までは、あと少し。




2019-06-17
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