ワンライのお部屋3(2018.4〜   )

□ 嘘つき (マスカレード・キス/添島啓) 2019.5.11
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(嘘つき!神様なんていないじゃないか!)

また、あの夢を見た
もの凄く目覚めの悪い朝
神に祈れば、救われると信じていた幼い頃―――


そんな俺に、唯一安息をもたらしてくれるはずの彼女は

(やはり、あの男が引っかかるのか)

あの男……単なる上司、というだけではない事は早々に見抜いていたが、この期に及んでも彼女の心を揺さぶり続ける……

「あの男を裏切れない?」
「…そんなことはないわ」

ああ、ほら、また
俺がいくら入れ込んでも、その口は本当のことを言わないんだ

だけど、あの男だって相当なものだ
自分へ向けられた彼女の憧れや信頼すら、利用しているにすぎない

俺とどこが違う?

生憎、俺は
他人の顔色を伺い見ることは慣れている
その嘘つきな口は…どうしてくれようかな

さあ、キミを支配するための手筈を考えようか
あの悪夢を、一時でも忘れるために

1番の嘘つきは誰だと思う?
俺か、キミか、あの男か
それとも―――



2019-05-13
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