ワンライ(スタマイ)のお部屋(2017.10.1〜

□今日は何の日?  (荒木田蒼生BD) 2018-05-23
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「蒼生さん、お誕生日おめでとうございまーす!」

日付けが変わってすぐ。
捜査一課の面々に祝いの言葉をもらって、今日が誕生日だということに気付く。

「それにしても、誕生日がキスの日なんて、蒼生さんのエッチ〜」
「5、23で恋文の日とはロマンチックですね」
「本人まったく気にしてなさげだけどねぇ〜」

みんな、寄って集って。
人の誕生日を一体なんだと…

なんて思うものの。この歳になって、家族以外に祝われるのも悪い気はしない。

しかも、今年は。

(あいつも…祝ってくれるよな…?)

ようやく、気持ちが通じあった泉の顔を思い浮かべ、柄にもなく幸せを感じる。

「蒼生さん、ニヤニヤしちゃって」
「バッ、ニヤニヤなんかしてねー!」

迂闊に顔に出そうになるのを、グッと堪え。
今日は早く仕事を切り上げようと思った。

昼休みに、泉からかかってきた電話。
誕生日を祝いたいから、夜に会えるかと聞かれ、二つ返事でうなずく。

「良かった!あの、プレゼントの他に、もうひとつ贈りたいものがあって…」
「なんだよ」
「は、恥ずかしいので会うまで内緒です!」
「恥…?」
「今日にちなんだものですけど、こ、これ以上はお楽しみに!!」

そう言って切れた電話。

恥ずかしいもの?
そういや、夏樹が言ってたのは…
(キスの日?!)

意識したが最後。
会ってからも、気になって気になって仕方がない。

(落ち着かねー。くれるなら…さっさとしてくれ…)

そんな俺のそわそわした態度に気が付いたのか。

「なんか、勿体ぶってる訳じゃないんですけど…でも、約束ですから。受け取ってもらえますか?」
「お、おう…」

どんな顔して待ってたらいいんだ?
このままか?目、瞑るのか?

そんな俺の目の前に差し出されたのは。

「手紙?」
「知ってましたか?今日はラブレターの日だそうですよ!私なりに、蒼生さんへの想いを綴ってみました」
「……」

なんだ…そっちかよ…でも…

「蒼生さん?」
「いや、手紙とかあんまもらったことねーし…だからその…嬉しいっていうか…」
「そう言ってもらえると、私も安心します…」

泉が、俺の言葉ひとつで安らげるっつーんなら、いくらでも言ってやりたい…けど…

あー、やっぱこれ以上無理だ。

その代わりに。
今日は、このぐらい許されるだろ…

いつもよりも少しだけ、キツく。抱きしめる手に力を込めた。

そして、泉が気付いていないもう1つの今日の日を実行しようと…思う…



2018-05-23

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