読み物
□オオカミの道理
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むかしむかしあるところに
おばあさんとそのむすこのりょうしが
もりのおくにすんでいました。
あるひ、ふたりがすむいえに
わるいオオカミがやってきました。
オオカミはりょうしがいないすきに
おばあさんをだまして
ペロリとたべてしまいました。
さらにオオカミは
いえにあるきんかやぎんかを
ぬすんでいきました。
りょうしがいえにかえってきたときには
おばあさんはいませんでした。
おばあさんがねむっていたベットからは
オオカミのにおいが……。
そのことにきづいたむすこのりょうしは
ふかくかなしみました。
またあるひりょうしがもりであるいていると
いっぴきのオオカミをみかけました。
そのオオカミをよくみてみると、
なんとたくさんのきんかをもっている
ではありませんか。
そう、このオオカミこそ
おばあさんをたべたオオカミだったのです。
りょうしはオオカミにききました。
「どうしてそんなことをしたんだい。」
オオカミはこたえました。
「はらがへっていたからくっただけさ。」
さらにオオカミはいいました。
「ちょうどいまもはらがすいているんだ。
こんどはおまえをくってやる。」
そういうと、オオカミはりょうしに
おそいかかりました。
りょうしはおばあさんのかたきをうつために、
オオカミにむかってじゅうをうちました。
そしてわるいオオカミは
しんでしまいました。
ぬすまれたきんかはとりもどせましたが、
どんなにまっても
どんなにかなしんでも
おばあさんはもどってきません。
りょうしはずっとひとりで
かなしみながらくらしました。