気が遠くなるほど長い夢を

□春の予知
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息を吐く度に、それは白い蒸気となって天へ昇り消えてゆく。
まだ薄暗い中私はコンビニのビニール袋を片手に分厚い雪の絨毯の上を歩く。
道路沿いにズラッと並ぶ家々も、その向かいにある広い公園にも。朝早いせいもあって、人の気配はしない。
公園…。
チラッと横目で見ると、そこも1面真っ白になっていて。
私は吸い寄せられるかのように中へ1歩踏み入れた。
ギュッ
もう1歩
ギュッ
歩く度にそう鳴くものだから、私は楽しくなってしまった。
小さい頃から雪は好きだ。
何も無い所に足跡をつけるちょっとした背徳感とこの音がたまらなく好きだ。
ギュッギュッギュッ
蛇行しながら公園内を歩き回る。
ギュッギュッギュッギュッ
ギュッギュッギュッギュッ
…ん?
ギュッギュッギュッギュッ
ギュッギュッギュッギュッ
なんか、おかしい。
ふと足音に違和感を感じ、私は振り返ってみた。

「!?あ…あんた」

私は若干戸惑いながらそう漏らした。

「ねぇ、あんたおそ松の…」

「あい!僕、松野家五男松野十四松でーす!」

あまりにも大きな声を出すもんだから私は慌てて人差し指を口元へ持って行き静かに!のポーズをとった。
すると十四松も私と同じ格好をしてにへーと笑った。
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