ラブライブ!

□大和撫子の本性
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カタカタ、と部屋に響くタイピング音。

9文字の短い文章をタイピングし・・・『送信』と書かれたボタンをクリックする。
数秒の読み込み時間が発生し、そしてもう10秒後には送信が完了していた。

私は思わず口角を上げる。


「ふふ・・・やっぱり、ネットの掲示板というものはやめられませんね・・・!」


あの大人気スクールアイドルグループの一員である私、園田海未は、「純粋な大和撫子」というキャラクターで人気を集めている。
部活は弓道。口調も丁寧に。ロングヘアーのお手入れだって、目立ちすぎない私服だって、大和撫子というキャラの演出である。

しかし。
そんな純粋なキャラを貫き通している私の本当の趣味・・・

それは、ネットの掲示板に書き込みをする、ということである。
自分は実はかなりの高坂穂乃果オタクであり・・・
毎日のように彼女のツイッターを眺めては、そこで拾ったおいしい発言の萌えを掲示板で吐き出す、
ということが心地が良くてやめられないのだ。

ちなみに、さっき打った9文字の文章というのは、『穂乃果たんはぁはぁ』である。
私のキャラが完璧に崩壊しているな、とつくづく思う。

付き合いたい。抱きつきたい。抱きつかれたい。ちゅーしたい。
いろいろな理想が頭の中をぐるぐる回る。

いや、抱きつかれたこととかは結構あるのだが・・・。
またふたりでいちゃいちゃしたいなーなんて考えてしまうのだ。
キスされて、恥ずかしがる穂乃果も見てみたい・・・。

しかし私には告白する勇気などないし、そんな妄想で終わってしまうのが現実だ。


と、いきなり私の携帯が鳴った。
着信の相手は・・・『高坂穂乃果』!
私は、彼女との電話を始める。

「どうしたのですか?こんな夜に・・・」
「ごめんごめん!いやー、ちょっと海未ちゃんに、聞きたいことがあって・・・」
「なんですか?相談なら、いくらでも聞きますよ」
「じゃあ、言うよ?」
「はい、どうぞ」

「じつはね、私・・・気づいちゃったんだけどさ」
「なんでしょうか?」
「気のせいかもしれないけど、海未ちゃん・・・、もしかして、ネット結構やってる?」

!?
もしかして・・・ばれている!?
もしも穂乃果にばれたら・・・変態ツイートや変態な書き込みがすべてばれてしまう・・・!

「え?ネット・・・ですか?いや、やってないですけど・・・」
「うーん、あのね・・・私、海未ちゃんと思われる人がやってるツイッターとブログ、見つけちゃったんだけど・・・」
「・・・ブログとかなんてやってないですよ」

いや、やってるけど言ってないだけですよ。
あのブログにも、相当な量のほのキチ発言が詰め込まれているのだが。やばい。
ツイッターなんて、凍結寸前の変態発言ばっかりなのだが・・・

「あははー、ごめんごめん、ちょっとそれが気になっただけでさ、あは・・・」
「勘違いは誰にでもありますよ、大丈夫です。では私、そろそろ寝ますので。では」

こっちから強引に電話を切ってやった。

どうしよう。
明日から学校行けない・・・



私は部屋の隅で、ひとりで頭を抱えるのだった。

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