木兎 × 赤葦


□メリークリスマス!!
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「赤葦!! メリークリスマースっ!」





朝から元気な人だ。
交差点を曲がる時、俺のことが見えたらしく、
ここからかなり距離があるのにここまで走ってきた。

今日はクリスマスイブ。
もちろん放課後は一緒にケーキを食べるという約束をした。

好きな人と過ごすクリスマスイブは初めてだ。
ちょっと、いやかなり嬉しい。






「おはようございます」
「なあ、赤葦。今日クリスマスイブじゃん」





分かり切ってることを言われた。
少し嫌な予感がする。





「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」







「いーい?」なんて小学生みたいに首を傾げて。
その可愛さに負けて。

言ってしまった。「……なんですか?」





「あのな、サンタさんへのプレゼントをだな、作りたいんだよ」
「……はぁ、」





どういう意味かよく分からないが、とりあえず返事をしておいた。

少し考えたけど、やっぱりどういう意味か分からない。





「えっと、どういうことですか?」
「だからサンタさんへのプレゼントをつくんの」




「……あの、もらうのではなくて?」





俺の言葉は聞こえていなかったみたいに「んー」とちょっと呻って、
「俺さ、中2までプレゼントもらえてたのよ」と言う。

ちなみに中3の時はもらえなくて、すごくへこんだらしい。
小学生か。




「でも中2までもらえてたなら十分じゃないですか?」と問うと、
にやりと笑いながら「赤葦は甘いなー」なんて言った。どこが甘いんだ。





「ずっともらってたから、お返ししようと思ったんだよ」
「それは良い考えですね」


「で、高1の時にめちゃくちゃ頑張ってクッキー作ったら、サンタさんもらってくれてさ!!」




木兎さんが、クッキーを、つくった……!?

満面の笑みを浮かべていることから、それは本当のことらしい。


サンタさんにクッキーを。あのサンタさんに。
よく今まで汚染されなかったな。




「高2はめちゃくちゃめちゃくちゃ頑張って、マフラーつくった」
「はあ!?」





いや、どれだけ頑張ったんだよ。



「あんた家庭科の成績なんなんですか!?」
「5」
「……もっかい言って下さい」
「え? だから5だって。お前数字も数えられないのか?」
「いや、違いますけど……まじすか、」
「家庭科だけずば抜けていいんだよな。俺女子力高いから」





胸を張って自慢してくる木兎さん。
少し嫉妬心を抱いていれば、「そこでだ!」といきなり話を振ってきた。





「クッキーとマフラー以外になんかない?」
「それ、今日仕上げるんですか?」
「3時間あればできるだろ。今までもそんくらいでできたし」
「あんた天才ですか!?」
「今更気づいたのかー? 遅いぞ、赤葦ー!」




ばんっと背中を叩く木兎さん。
いつもならやめてください、と言う所だけど
木兎さんのあまりの家庭科力の高さに、そんなこと言う気力も無かった。





「でさ、なんかない?」
「そんなこと言われても……」
「そっか……。じゃあ放課後までに考えておいてくれよ!!」





一緒に作ろうぜ、って言われそうで少し怖い。




「木兎さん。それってまさか、」
「できるなら一緒につくろーぜ!!」
「……やっぱり」






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