裏切り者
□トド松
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僕等には妹が居る。
とってもクールで、可愛くない妹。
まるで男みたいな性格。
だから、今日も僕等は彩花を躾【虐め】るんだ。
ほらほら…彩花が来た。
白猫マントにジーンズというラフな格好。
女という格好じゃない…。
『……おはよ。』
それだけ言って、彩花は何処かに行ってしまう。
ま、僕には関係無いけど。
だって、【イラナイ】子が消えた所で何か変化ある?
逆に清々する。
僕等の妹はただウザいだけの人物。
居ても意味の無い有害物質。
お「彼奴暗いよな」
おそ松兄さんがそう言う。
「確かに。」
ち「彩花の笑ったかお見たこと無い」
い「俺もない」
彩花は何時も無表情で、でも時々悲しそうな顔をしている。
ガラッ
あ、帰ってきたな。
お「皆無視しろよ?」全「うん」
皆彩花から目を反らし、適当に無視する準備をした。
【じりりりり】と電話がなる。
「シコ松兄さん、取ってきて♪」
ち「誰がシコ松だよ…。ったく。」
チョロ松兄さんがそう言いながら、電話を取りに行った。
けど、既に彩花が取っていた。
『あぁ……マスタングか。漸く大佐になったらしいな。おめでとう。
所で、少しいいか?』
誰?マスタング大佐って。
『あぁ、賢者の石の材料が何か分かった。
え…?嘘だろ…?マース・ヒューズが殺された?』
「あぁ、ホムンクルスのエンヴィーという奴とラスト、あとは…グラトニーだったかな。ソイツに殺られた。」
『そうか。なら、そちらに着いたときにマース・ヒューズの墓に寄り道していくか。』
「ヒューズも喜ぶだろうな。
ということだ。早く此方に戻ってきてくれ。」
ガチャッ
『……ホムンクルス…エンヴィー、ラスト、グラトニー、ラース、プライド、スロウス、グリード…【絶対許さねぇ…】』
──ゾクッ
怖い…初めて彩花が怖いと思った。
『……兄さん達何してるんだ?』
!?
お「……今の電話相手…誰だ?男っぽかったけど、彼氏?」
おそ松兄さんがそう聞くと、彩花は一瞬ぽかーんとしたが、いきなり笑いだした
初めて彩花の笑ったかお見れた
『アハハハハハハ!!あんな女たらしがボクの彼氏?笑わせんな(爆)
彼奴はボクの上司みたいなもの。
上司としてみてないけど(笑)』
……その上司みたいな人が可哀想(笑)
『兄さん達は良いよね〜。母さん達に甘やかされて、兄弟が居て。ボクに無いものを沢山持ってて、イケメンクズで優しい。クズだけど、ボクに無い家族とか、ボクの欲しいものをすべて持ってる。
赤の他人のボクには酷いけど。』
ん?赤の他人????
『あれ?気付いてなかったの?ボク、此処の娘じゃないよ?
左手は義手だし、顔だって全然違う。
本当、【何も知らない】なんて【羨ましいよ】』
気付くと彩花は泣いていた。
僕等がどんなに虐めても泣かなかった彩花が…
『ボクみたいに【全てを知った人】じゃないなんて羨ましいよ…【妬ましい】くらいに…【羨ましい】。』
所々に殺気が混じってる…
『……ハァ…ごめん、意味無い話だった。』
そう言って、彩花は自分の部屋に戻っていった。