lemures(霊)

□公〇の怪談!?
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  「つ、冷たーいっ!」


  「話に聞いていたよりもヒドイですね」


  「もーっビショビショ!」


  「脱がないと風邪ひきますよ」


  「あなたもねっ!」


  「私はそこまでヤワではありません」


  「そーですね!デリケートな私には
   マネできない図太さです」


  「その言葉はもう少し
   慎みをもった女性の方が合いますね」


  「従順にお仕事してるのに何て言い草」


  「そのわりに口答えが多いようでが」


  「理不尽な態度に物申しても
   罰はあたらないと思います」


  「ああ言えばこう言う人ですね」


  「上司に似たのでは?」


  無言を通していたのが
  何だったのかと思うほどに
  ポンポンと嫌味の応酬をしていたら
  恨めし気な半透明の女の人に
  大量の水をひっかけられた・・・・・・


  助手さんに抱き寄せられたままだったのが
  仇になって逃げ遅れてしまった


  囮作戦が成功したってことなんだろうが
  これは想定外だ


  ぶっちゃけ狙われるなら
  滝川・麻衣ペアだと思ってたのに!
  あの二人の方が
  仲良さげだったじゃないか!


  「理沙!大丈夫?」


  「麻衣ーッ!メッチャ冷たいよーっ」


  「ほれ、これ着ろ」


  「ありがとうっ滝川さん!
   優しさが嬉しいっ」


  「・・・・・ハァ」


  「そのため息は嫌味ですよ」


  「えぇ!?理沙っ!?」


  「まったくあなたは可愛気がないですね」


  「あなたは本当に大人気ないですね」


  「お、おい、どうした?お前ら」


  「別に」


  「何でもありません」


  「「???」」


「原さん!」

  「そっちはどうした!?」


  「わからない急に倒れた」


  「あちゃー・・・」


  「理沙?」


  「憑りつかれちゃったっぽい」


  「ええ!?」


  「ちょうどいい
   このまま話を聞こう、リン」

 
  「はい」


  心配して駆け寄ってきてくれた麻衣と
  すぐさま自分の上着を貸してくれた
  滝川さんの暖かさに癒されていたら
  原さんがこの騒動の元凶らしき霊に
  憑かれてしまったようだ


  オロオロと可愛い反応をする
  麻衣とは反対に
  淡々と録音の準備をする助手さんに呆れる


  この状況を“ちょうどいい”と
  言ってしまうナルもどうかと思うし
  本当にそっくりだ


  この上司と助手は二人そろって優しくない


  「―――――ふふふふふふふふふ」


  「うわ、気色わるっ!!?」


  「麻衣・・・それちょっとヒドイ」


  「あ」


  ユラリと立ち上がった原さんは
  明らかにいつもの彼女ではなかった


  あまりの豹変ぶりに麻衣が
  思わずといった感じで
  少し顔色を悪くしてひいている


  気持ちはとてもわかる


  いまだに楽し気に笑い続ける
  原さんの対処にとても困っていた
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