lemures(霊)

□悪○がいっぱい!?
2ページ/25ページ


  「麻衣?」


  「んー?」


  「なんか今日不機嫌だね」


  「嫌な奴にあったからねっ」


  「?」

  いつも元気で明るいクラスメイトの麻衣が
  今朝からずっと不機嫌だ
  

  遅刻してきて教師に
  それを怒られたのが原因かと思ったが
  違うらしい
  

  プリプリと聞こえてきそうなくらい
  イライラしている

  「これあげるから機嫌なおして?」


  「なに?」


  「うちのお店のサービス券」
  

  「マジで!?いいの!!?」


  「フフフッ、いいよー
   ただし私がいるときに来てね」
  


  「わ〜いっ!ありがとうっ
   行ってみたかったんだ」

  バイト先のサービス券を渡して
  機嫌をとる
  いつもの笑顔が返ってきてホッとした
  

  彼女の笑顔は私のお気に入りなんだから
  麻衣には笑っていてほしい

  「ねね、今日行っちゃダメ?」
 

  「え?あー今日は私休みなんだよね」


  「む〜・・・そっか残念」


  「なんなら一緒に行く?お客さんで」


  「行きたいっ!」

  上目づかいでお願いされると
  かなえてあげたいと思ってしまう


  あまり体格は変わらないのに
  どうしてこんなに可愛いのかしらっ
  

  思わず頭を撫でながら
  緩む口元を引き締める
  

  お茶してから行こうかーと言いながら
  帰る準備をしていれば
  昨日怪談に誘ってきたメンバーに
  驚いた顔を向けられた

  「麻衣ったら帰るの?昨日のホラ!
   渋谷先輩!来るっていったじゃなーい」
  

  「会わないの?」


  「別にいい」


  「誰?」


  「昨日怪談してたら乱入してきた人」


  「へー物好きねぇ」


  「あのお姿は一見の価値あるわよ!」


  「理沙も今日は参加しなよっ」


  「「えー・・・」」

  せっかくご機嫌が直った
  麻衣のテンションが急降下してしまった
  

  話から察するに“渋谷先輩”とやらが
  原因のようだ
  

  どうやらとてもイケメンさんらしいが
  他の何かが麻衣には
  気に入らなかったのだろう
  

  私もあんまり関わりたくないなぁ
  怪談に興味ないし
  カッコイイ人に興味はあるけど
  麻衣が気に入らないんじゃ
  私のタイプじゃないだろう
  

  バイト先ひやかしに行った方が数倍楽しい
  

  キャッキャッと
  こちらの要求を聞こうとしない子たちに
  麻衣と一緒にため息をつく
  

  女子特有の集団パワーって
  逆らえないよね・・・・・・・
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ