lemures(霊)

□公〇の怪談!?
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  「・・・・・・・・・・・・・・・」


  「・・・・・・・・・・・・・・・・」


  少し肌寒くなった季節
  のどかな雰囲気の公園の一角にあるベンチ


  年頃の男女が座り
  にこやかに談笑でもしていれば
  ほのぼのとした
  デート中のカップルに見えるだろうが
  相手にその気がなければ
  ただ気まずい雰囲気が横たわるだけだった


  「ハァ・・・・・」


  麻衣と一緒に“寒くなったねぇ”なんて
  話しながら事務所の掃除やら
  所長へのお茶出しやらと
  アルバイトに精を出していた今日


  珍しいことではないが
  原さんが事務所を訪れた


  麻衣が不機嫌そうに
  “ナルなら仕事中だ”と
  追い返そうとしたら
  なんと仕事の依頼だった


  知り合いのテレビ局の人に
  たのまれたらしい


  依頼内容を聞いたナルも
  “ぼくの知ったことじゃない”と
  オブラートに包むこともせずに
  きっぱり断りを入れたはずなのに、


  彼女の“お願いできませんかしら”の
  一言に物凄く嫌そうにしながらも
  依頼を引き受けたのだから驚きである


  そして今
  件の困った現象の起こる
  現場である公園へ訪れたわけだが


  その現象が
  “カップル限定で水が降ってくる”
  というもので


  “囮を用意すればいい”と
  原さんが言い出した


  (なるほど、これが狙いか)と
  にこやかな笑顔を浮かべる原さんにも
  勢いよく囮作戦にのった麻衣にも
  生暖かい視線を送ったものだ


  除霊要員として呼ばれた
  滝川さんがいたものの
  男が一人足りないということで
  事務所に残った助手さんも呼び出され


  ナルと原さん 


  麻衣と滝川さん 


  私と助手さん


  という囮カップル3組が出来上がった


  ナルと組めなかった麻衣が
  ものすごく不満げで思わず笑ってしまった


  ・・・・・・それにしても・・・・


  「あのー・・・一応お仕事ですし
   その不機嫌顔は何とかしないと
   カップルに見えないと思いますよ?」


  重―い雰囲気をまき散らしている原因

 
  不本意・不機嫌を隠そうともせずに
  眉間に皺をよせている助手さんに
  声をかければギロリと睨まれた


  ・・・・私、間違ったこと
  言ってないと思うんだけどなぁ
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