pirata(海)

□幻の民
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 =ドオオ・・・ン=

  『二回目じゃん
     今日は景気がいいなぁ』

  ここにきて早8ヵ月
  育った島よりも
  はるかに高い気温に辟易しつつも
  少しづつ順応して
  サクサクと今日の食糧を確保する
  

  洗濯と仮住まいの掃除をすませて
  半年前に思い付きで作り出した
  お酒の様子を眺める

  『ソロソロ飲めそう・・・』

  フツフツと発砲する液体を眺めながら
  嗅ぎなれたアルコールの香りに
  ニンマリとする


  今日もよくわからない決闘を
  楽しそうにやっているだろう巨人の二人に
  これなら差し入れできるかもしれない

  ―出て来ォオオオ〜〜〜〜い―

  『ん?』

  何か聞こえた気がして
  その方角に視線を送る
  

  鬱蒼と蔽い茂るジャングルでは
  見渡せる場所も限られるが
  先ほどから巨人の一人の気配が
  薄くなっているように感じる

  『・・・ドリー?』

  もしかして決闘の決着が
  ついてしまったのだろうか?
  

  それにこの巨人とは違う
  人の気配は何だろう?
  

  ドリーの気配は
  ドンドン小さくなっていくが
  時おり―ドオン―という爆発音が
  聞こえてくる気がする

  『ブロギーが
     他の人と遊んでるのかな?』

  他人の戦いに手を出す気はないが
  気配から言ってドリーの治療は必要だろう
  

  傷に効く薬草や包帯代わりの布きれを
  大きな葉っぱに包んで
  味見用のお酒を片手に
  爆発音のする方へ足を向けた
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