小説エリア・緑の森

□Dear Saiyans 番外編 Happy birthday Chris
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これは、クリスがクウラの手によって最終形態に変身できるようになってから数日後の話である。

ラディッツ達とクリスが彷徨っていたルートを巡りながらお出かけを楽しんだが、クリスの心の傷は癒えてなかった。
兄であるクウラやフリーザと同じ最終形態になってしまったのが、クリスにとっては耐え難いショックだった。
この姿になったことで、今までとは比べ物にならないほど戦闘力が高まった為、守るべきものまで手にかけてしまうと思うと、怖くてたまらない。
兄•フリーザ達と決別しても、どんなに遠くに離れても、やはり宇宙の帝王の血筋からは逃れることができない。
未来の宇宙の帝王になるには、毎日勉強漬け、更には破壊と殺戮の世界を見て回らなければならなかった。
これがまだ幼いクリスにとっては恐怖そのものだった。辛い幼少期だった。

そんな時に出会ったのが、バーダックとラディッツ達サイヤ人だった。
父•コルド大王と母•イアス王妃からは、サイヤ人は戦いと破壊のことしか考えない恐ろしい種族だとよく教えられたが、それは違っていた。
サイヤ人は確かに戦うことが好きだ。だが、破壊と殺戮の為ではなく、戦いを経て互いを認め合い、時には友達や家族となって共に生きるもの。
事実、サイヤ人は自分の家族や仲間を守り、力を合わせて強大な敵に立ち向かう。
だが、そんなサイヤ人達はコルド大王やフリーザに騙され、利用され、人を愛する心を失われつつあった。そして最後はフリーザの手によって、惑星ベジータは破壊されてしまった。
生き残ったサイヤ人達は、クリスに助けられた者達と、地球に降り立ったラディッツ達だった。
だがラディッツは、地球での激しい死闘によって一度は命を落としたが、クリスに助けられ、再び息を吹き返した。
しかし、今のラディッツは後遺症によってあまり戦える身体ではなくなった。
クリスはまだ幼いながらも、ラディッツ達を守りたいと強く願っているが、一方で悪の帝王の血を引いていることが悩みだった。
クリスは悲しくて悔しくて、今日も部屋で泣いていた。
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