小説エリア・緑の森

□Dear Saiyans 第43章 寒い時は
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地球に住み始めてからどのくらい経ったのだろうか。ラディッツ達サイヤ人はすっかり地球に馴染み、平和に暮らしていた。

セルマックス事件から数ヶ月が経ち、ドクターヘドとガンマ達はカプセルコーポレーションで働き始めていた。
パオズ山はすっかり寒くなり、山々にはうっすらと雪が積もり始め、冬の気配が訪れていた。
ナッパとターレス達は、いつものように元気だか、ラディッツは違っていた。
ラディッツはピッコロから受けた魔貫光殺砲の古傷が、長く続いた悪天候と寒さの影響で痛み出し、ベッドから出られない日々が続いていた。
普通の日常を送っていても時々痛むのに、やはり寒い日や天気の悪い日は激しく痛むものだ。
痛みを和らげようと痛み止めの薬を飲んでも、痛みは治まらない。
仕方なくラディッツは、しばらく仕事を休むことにしたのだ。
サイヤ人とはいえ、さすがに無理をするのは危険だ。体が痛い時や具合が悪い時は休んで体を治す。体の不調を我慢してまで無理をすれば、かえってみんなの足手まといになるし、最悪命に関わる危険もあり得る。
しかし、フリーザ軍だった頃は、どんなに体調が悪くてもケガをしていても、休むことは許されなかった。サイヤ人という理由で道具のように扱われ、周りから獣を見るような目で見られたりと散々だった。
そんな光景を見ていたクリスは、ラディッツ達をかわいそうに思い、早く助けてあげたかったが、フリーザにバレてしまい、引き離され、そしてラディッツは地球で死の淵に立たされてしまった。
クリスは、もう二度とラディッツ達サイヤ人に苦い思いはしたくない、そして世界中の人々が幸せに生きていて欲しい、そう願っていた。
「…思い出したら、泣けてきちゃった」
クリスは、辛い日々と怖い思い出がよみがえってしまい、涙が止まらなくなってしまった。
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