小説エリア・緑の森

□Dear Saiyans 第29章 心をひとつに
1ページ/10ページ

「この気は…。まさか!?」
「!!ベジータさん?!」
なんと、悟空達の前に現れたのはベジータだった。

ベジータは本来、魂を浄化されて新たな生命体に生まれ変わるはずだったが、魔人ブウによって地球だけでなく、宇宙全体が危機にさらされていることを危惧した閻魔大王が、ベジータに再びチャンスを与えていたのだ。

ラディッツとクリスは大泣きしながらベジータに抱きついた。
ただ、下界に戻ってきたとはいえ、今のベジータは亡くなったままである為、温もりは感じられなかった。
しかし、ベジータが帰ってきたのは何よりも嬉しかった。
「ベジータ…。オレ達を置いていくなよ…」
「う、うぅ…。ベジータ、さん…」
ラディッツとクリスは泣きじゃくりながら、途切れ途切れに言った。
「…すまなかったな、みんな。あとはオレ達に任せて、お前達は逃げるんだ」
ベジータが言った。
彼は目付きが鋭いのは相変わらずではあるものの、フリーザ軍時代のようなあの怖い顔はすっかり消え、優しく穏和な表情だった。
しかし、ベジータとの再会を喜んでいる時間はなかった。
目の前には魔人ブウがいるのだ。
「何をこそこそしている?みんなまとめてお菓子にして食ってやるぞ!」
魔人ブウは腕を組みながら睨んだ。
「お前達、ここはカカロットとベジータに任せて、早く他の生存者を救出するぞ」
バーダックが言った。
「…でも、ベジータさんは…」
クリスは不安だった。
「大丈夫だ。カカロットがいるんだから心配するな」
ラディッツが言うと、ベジータはラディッツをキッと睨みながら言った。
「オレがカカロットより弱いってことか?」
「な!?そ、そんなことないです…」
ラディッツはギクッと大きく肩を震わせて、思わず敬語になってしまった。
そして逃げるようにその場を去ってしまった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ