【長編】ウサギさんとストーカー

□第3話 鼻血日和
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今日もいつものように尾行中。

太陽の陽射しと火照ってる体で暑さ倍増してるけど、全然気にしなーい。

だって、目の前にはうさぎさんこと逆巻スバルくんかいるのだから!!

麗しゅうございますね…今日はどうやら小森さんは居ないようだけど。

暑さで見るからに機嫌の悪そうなうさぎさん。時々、イライラしたように頭を掻いて、その度に歩く速度が増えるから、慌てて付いて行こうとした時。

「おい」

「……」

「聞いてんのかよ」

「うさ、うさしゃんが?!わたひに話しかけてくださってる?!え待って」

「おい…」

「えぇ〜!?あ、鼻血!鼻血がでふ?!あ、あぁあ〜!!夕菜ちゃぁ〜ん!!」

ドタドタと訳の分からないことを言い残して走っていった女を見て逆巻スバルは首を傾げた。
何なんだアイツ。訳わかんねーし。

「…なんか怖え」

「あ、スバルくん!どうしたの?」

「ユイか。…いや、何でもねぇよ。
帰るか」

「うん」

頭に疑問を抱えたまま、うさぎさんは帰っていったのだった。


「で?夕菜ちゃ〜んってあたしの名前叫びながら逃げてきた訳だ」

「もうもうもう、ね!ヤバかったんだよ?カッコいいし可愛いし…目の前に居るもんだから逃げちゃった☆」

「逃げちゃった☆じゃないでしょうがこの馬鹿」

ガスッ

と一撃を食らって頭を抑えこむ名無しさん。

「痛い…」

「もう二度と喋る機会ないかもしれないのに何逃してんの」

「だからって叩く事ないでしょ〜」

痛いよぉと若干泣き目になっている名無しさんを見て大きな溜息を吐く彼女の親友、夕菜。

「はぁ…これでも心配してやってんのよ?」

「…はいはい。どーせ私は意気地なしのチキンなんですもーん」

「はいはい、じゃチキン。これからもめげずに頑張りなさいな」

「むー!!ぜーったいにチキンじゃなくて鳥になってやる!!」

何それ、と夕菜が呆れた笑いをこぼしたのはそんなに過ぎていない休み時間の事。


廊下を跳ねるように歩く女子高生。周りからの目が凄く怖いけど、彼女はそれを諸共せず走り抜ける。

突如現れた女の子の軍団におっとっとと避けながら通り抜ける。真ん中にいるのは…確か無神コウ?アイドルがこの学園にいる、っていうのは聞いたことあるけど…こんなに群がらなくても。うさぎさんの方が可愛いのにな。

「ちょ、押さないでよ!」
「足踏まないで!」
「背伸びしてる人だれ?コウくんが見えないじゃない!」

おぅ…女達の修羅場だ。
そう他人事のように思っていたのに突如、身体が浮いたのを感じる。

押された〜なんて呑気に思いながら飛ばされてこれからくる衝撃に目を瞑った時。



思っていた感覚とは違うものが私を包んだ。

「??…うわあ!!!!」

「…お前…この前の」

そう、目の前に居たのは。
紛れも無いスバルくんだった。

「ごっ、ごっ、」

「ご?」

「ごめんなさい!!重いですよねすぐ降ります!」

「あー!ちょっとゴメンね通らせて〜」

ん?と後ろをむけば、金髪さんが歩いてきていた。

「あっれ〜スバルくん、エム猫ちゃんが居るのに浮気〜?」

「バッ!浮気じゃねー!そもそも付き合ってもねーよ!!」

「え、付き合ってないんですか?」

「付き合ってねーよ!!…つーか」

ドスっ、と下ろされて見上げると
美しいスバルくんの姿。

「…俺の事知ってんのかよ」

「もっちろんでございます!
逆巻スバルくん、16歳、逆巻兄弟の末っ子で、上に三つ子のアヤトさん、ライトさん、カナトさん、それからレイジさん、シュウさんの順にお兄さんがいらっしゃる、超絶可愛いかつキューティクルなうさぎさんなのです!それから好きな食べ物とかは特に無く、好きな子は小森ユイさんで…」

「ぶはっ!!」

私の止まらなくなってしまっていたスバルくん論に終止符を打ったのはコウくん?の吹き出した声だった。

「ふっはは!面白いねキミ!俺、無神コウだよ☆よろしくね♪」

「あ、名無しさんです!以後お見知り置きを」

「で、君はスバルくんとはどーゆー関係?」

「ストーカーです」

「は?」

「え?」

同時に声を上げたスバルくんとコウくん。

「だから、私はスバルくんのストーカーです」

「は?」

「あーなるほどなるほど。スバルくんに一目惚れしちゃった系?」

「はいっ!」

「告白する訳でもなくストーカーするの?」

「私如きがそんな事出来ませんから」

「凄っ!根っからのストーカーだ」

「おい、勝手に話進めんじゃねーよ」

麗しいスバルくんの声が聞こえて
コウくんとの会話を終わる。

「怒らないでよスバルくん。この子凄い良い子っぽいよ?仲良くしよーよ、ね?」

「え、…光栄!!光栄です!!死ねちゃうかも!」

「いやいや、死んじゃダメだよwってな訳でスバルくん、三人で仲良くしよーよ」

「あ?っておい!待てっ!!」

コウくんに手を引かれながら帰った。

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