夢小説

□第1章
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―――王妃を愛して幸せにするよ
そしてわたし自身 王妃と民に愛されて
幸せになれるよう努力する―――

心の釦をとめるようにそう言ったザナンザ皇子は、私の膝の上で事切れた

彼の明るいヘイゼルの瞳は瞼の奥にしまわれて、光を宿すことはもうない

ギラギラと照りつける砂漠の太陽は肌を刺し

吹き荒れ始めた砂は肌を叩く

皇子に覆い被さるように上半身を倒した私自身、背に放たれた矢を受けて血を流していた

先刻、喉を潤すために飲んだワインには毒が入っていたようで、身体が鉛のように重い

それでもカイル皇子伝えなくては…
エジプトと戦争になってしまうことだけは避けなければいけない


ユキは歯を食いしばって身体を起こす。
「……っ…ブレゴっ…!」
愛馬の名前を呼ぶと、黒馬が2頭よろめきながら立ち上がった。1頭はユーリの馬、アスランだ。
「ユーリは…?」
ブレゴにしがみつきながらなんとか立ち上がりながら辺りを見回すと、アスランが倒れたユーリと地面の間に頭を滑り込ませて背中に乗せたところだった。
「ユーリ…」
近寄って手首を掴むと脈打っていることがわかる。
(…生きてる…)
ホゥっと息を吐き出し、チラリとザナンザ皇子を振り返る。
(脈も呼吸も完全に止まっている…遺体を運ぶのは無理………ごめんなさい…)
目から溢れた涙は砂にシミを作った。
ユキは彼の瞼にそっとキスを落とした。

「………行こう。せめて交易路に戻らないと…」

ブレゴが脚を折って体勢を低くした。
「ごめんね、無理をさせる…」
ユキはブレゴにまたがり、アスランの手綱を取ると、砂が吹く中を進み出した。













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