僕たちのヒーローアカデミア
□天パに悪い奴はいないC
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『雄英の金の感覚がよくわからんわ』
「あら、私の家のお風呂と同じくらいでしょうか」
『お前の家はどんな家なんだよおいィィィィイ!』
お金持ちなのは充分、分かってた。
分かっていたけどもどういうことだ。
これと同等の風呂が家にある家ってなんだ。
意味がわからねーよ!?
そんなことを思っていると、壁の向こうから野郎の声が聞こえた。どうやら入浴のタイミングがかぶったらしい。声的にうちのクラス。ひと騒動ありそうだな、なんて軽く考えたがすぐにその思考を捨てた。
「あ、そうですわ真梨乃さん!お背中お流ししまょうか!?」
『は?いやそんなことしなくていいから。自分で出来っからね』
「あ、ヤオモモそれいいね!みんなでやろうよ!」
「何それ楽しそー!」
『お前ら童心に帰りすぎだァァァァァ!!!』
一応言おう。ここはあくまでも露天風呂。
壁で仕切られているが向こうにも人がいるわけで、私たちが騒いでる間に男子たちも何やら騒がしくなっている。その中の声の1つに峰田の声が聞こえた。みんなもそれに気づきシー、と静かにして彼らの話を聞いてみた。
「峰田くんやめたまえ!君のしている事は己も女性陣も貶める恥ずべき行為だ!」
「やかましいんスよ…」
「峰田…」
『マジで性欲の代名詞だよあいつ』
「感心してる場合じゃないと思うのだけど、真梨乃ちゃん」
なんとか背中流しあいっこを回避し、頭や体を素早く洗う。泥なども綺麗に落ちて満足だ。
しかし本当に峰田は凄いと思うあれ。
スケベな銀ちゃんでもあそこまで酷くなかったのに。いやぁ、上には上にいるとはいうけど、なんかスケベレベルが高すぎやしないか?
「壁とは越える為にある!!"Plus Ultra"!!」
「速っ!!」
「校訓を汚すんじゃないよ!!」
なんだよこのヒーロー科とは思えないレベルの低い会話。びっくりだわ。
だが、女湯を覗こうと奮闘した峰田には天罰が当たった。監視役としていた出久のティンポを襲撃した洸汰くんが壁と壁の間の小さな隙間にいたのだ。
洸汰くんは私たちを峰田から守ったものの、振り向いて私たちを見るや否や鼻血を出して男湯の方に落ちて行った。
って、ぇええええええええ!!?
「え!?あの子今落ちた!?」
「怪我とかしてたら大変や!」
「真梨乃あんた行ってこい!!」
『え!?どゆこと!?』
「梅雨ちゃん!!」
「任せて」
『ちょっと待って梅雨ちゃん止まってストッだはぇああああああああああ!!!!』
私は梅雨ちゃんに投げられた。どこに?
そりゃ勿論。男湯に。
ドッポーン
「なんだ!?」
「なんか降って来たぞおい!!」
『ブッハァ!!!ちょっと梅雨ちゃァァァァん!?そりゃないんじゃないのォォォ!?!?』
「「「「「………………」」」」」
女湯からは女子たちのなんとかなるでしょという言葉をもらったが、周りにいる男子たちの見たことないくらいの静寂さ。これだけ私が騒いでる分、彼らの視線は当然私に来ている。
ギリギリなんとか手ぬぐいで下は隠せたものの、胸は自分の手で隠していた。
「「「ブハァッ!!」」」
「飯田と砂藤と切島が鼻血出して倒れたァァ!!」
「うひょォォォォォォォォォ!神はオイラに味方したァァァァァ!!!」
「バッ、このクソ天パ死ねッ!!」
『私だって好きでここに来たわけじゃないわァァァァァ!!どうするんだよこれ、どうやってあっち帰るんだよ梅雨ちゃァァァァァん!!』
「真梨乃!あの子どうなったの!」
『あのガキより私のこと心配してくれないかなぁ!?』
思春期真っ盛りな男子高校生、しかも性欲の申し子みたいな奴らと一緒に素っ裸でお風呂入っちゃってんだよ!?
『あのガキはこっち来る前に出久が素早く連れてったよ!ここに居ないしッ!?』
「なら良かった。あんたはどうにかしな!」
『なんだそりゃあ!!?つーかただの投げられ損じゃあねぇかァァァァァ!!』
なんでこうなったの!?私一体何かしたか!?
「真梨乃!」
『…何さおぶふっ』
「俺のバスタオル使っていいから体隠せ!」
『焦凍…』
真っ白な大きめのタオルを持ってきた焦凍は私の顔をそれをぶん投げた。焦凍には抱きついて感謝をしたいがそんなことをしたら大変なことになるだろう。だからありがとうとだけ伝えてそれを体に巻きつけた。
『うぃ…』
「ああああああああ!!轟なんて事すんだぁ!!オイラの脳内にまだ永久保存できてねぇんだ!!」
「させるわけねぇだろ」
「つかなんでてめぇはここで寛いでんだボケ!!」
『勝己、もう腹括ろうよ。こうなりゃもう裸の付き合いだよ裸の付き合い』
「草摩オイラと裸の付き合いしようぜェェェェ!?」
『てめぇの裸の付き合いは裸の突き合いだろうが』
「草摩お前いい加減にしろッ!!」
湯冷めもしたくないし、ちゃんと温まってから出て行こう。じゃないともうやってられない。
『でもなに。勝己照れてるの?』
「っ、近くに来んなッ!!」
『なんでぇ?ありゃあ?お顔が赤いですなぁ?』
ニヤニヤしながら近づいていくとさらに顔が赤くなっていき、私から完全に顔を背けてる。
なにこれ。めっちゃ面白いんですけど。