僕たちのヒーローアカデミア

□天パに悪い奴はいない@
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幼少期@-2





私は6歳になった。去年、私の母クリスティーヌは亡くなった。病死だった。前世の自我のままだとしてもこの世界で腹を痛め、私を産み、無償の愛を注ぎ育ててくれた母の死だ。人並みには悲しかった。普通ならばこんな歳で親を亡くすのだから引きずる事が多いだろうが私はそんなか細い神経持ち合わせてない。

だが父はこの母の死を酷く悲しんだ。最愛の人をなくしたのだから至極当然な話だ。私の容姿はすべて母譲りで、父は私を見るといつもあの愛しい母を思い出すと言う。つまり母そっくりなのだ私は。母は他人に自慢したくなるほど美しい人だったからそれはすごく嬉しい。嬉しいのだがひとつここで問題がある。父は母を心の底から、本当に溺愛していた。そんな母を亡くした父。

必然的に母に向けていた愛と私への愛、ダブルで向けてくるようになった。つまり私を溺愛(前からだが)するようになった。そう。前よりも遥かにだ。控えめに言って、うぜぇ。



「はぁーいおはよう真梨乃ーーーーーー!!」

『朝からうるさいんだけどお父さん。というか起きてるから部屋入らないで』

「うん!今日も可愛い!さぁ記念撮影しよう!」

『話聞いてくれるかな?ねぇ?聞いてる?』

「はいチーズ!うっひゃあああああ!天使がここに居る!」

『出てけやくぞジジイィィィィィイ!!』

「ぐはぁ!!!」



私は父の腹に飛び蹴りを決めてやった。幼い体ながらに全身全霊の飛び蹴りはなかなかなパワーを持っており、綺麗に父は飛んでいく。しかし分かるだろうかこの溺愛っぷり。一度言おう。きめぇ。
そして、うぜぇ。こうなるんだったらまだ目の前でお母さんとイチャイチャされた方がマシだ。
お母さん帰ってきて……。

廊下で痛みに耐える父をガン無視して小学校へ行く準備を整えていた。準備が終わり部屋から出たら既に復活していた父。先程携帯で私の写真撮りまくった父はその撮ったものを見て、もうデレッデレしてる。マジきめぇ。









それはそうと、私はこの生まれて6年でこの世界のことを色々と知った。前の世界と似たものだと思っていたのだが、少々この世界は特殊だった。

この世界には個性というものがある。これはどんなものかと言われればどう説明したらいいかわからないのだが、強いていうならば超能力のようなものだ。そしてこの世界の総人口の約8割が“個性”を持つ超人社会だ。個性とやらを初めて見た時はとても驚いた。そして、この世界はその個性を使い社会の平和を守るヒーローという職業がある。そのヒーローという職を持つ人達は多数おり、こんな情けない我が父もそのうちの一人だった。これでも結構有名なヒーローらしく、父が休みの日一緒に出かけるとめちゃくちゃ話しかけられていた。



「よぉしパパ行ってくるぞ!戸締りしっかりな!」

『はい行ってらっしゃい』

「今日も愛してるぞー!!」

『いいから早く行けよ』



何かと玄関のドアに張り付いて言ってくる父に顰めっ面を見せればそんな顔しないで!と言われた。
させたのお前だ。

まぁ、話を戻そう。

4歳で出た私の個性は嬉しいことに父の個性の武器創造だった。これはなかなか使える個性だと思う。武器ならなんでも作れる。まぁ、大きさによってかかる時間も違うが基本はそんなでかいものは造りはしない。

これは父の個性をまるまる受け継いだために父から色々と指導を受けたりもする。その時の父の顔はいつもの情けない顔つきではないヒーローとしての顔だ。個性の危険性などもすごく教えてくれるが…何も覚えてない。



『おはよ、ごめんねお待たせ』

「おっせぇんだよ!!」

「おはよう真梨乃!」

『やぁ勝次郎くん。出久おはよう、行こっか』

「う、うんっ」

「勝己だボケ!つかデクのてぇつないでんなよ!」

『はいじゃあ勝太郎くんも』

「勝己だっつってんだろうがボケ死ね!」



ボケしか悪口のボキャブラリーないのかお前は。

共に学校に行くのは私の幼馴染である爆豪…勝……かつ……うん。と緑谷出久。勝…太くんは爆発?とかいう個性を持っているが、出久は今では珍しい無個性だ。

二人とは幼稚園からの仲で、勝…之助くんは私によく突っかかってくる。おそらく愛情の裏返しだ。しかし性格がなかなかすごいので私的にはめんどい部分が多々ある。それに反して出久はすごく小心者でおとなしめ。でもヒーローの事になると凄い。なんか人格変わる。マジで。
まぁ、どちらも二人とも好きなのだが。



「おい真梨乃」

『ん?』

「そろそろおまえたんじょーび…」

『あら、よく覚えてたね勝衛門。ビックラこいた』

「そろそろ名前ちゃんと覚えろクソ女!」

「真梨乃たんじょーびプレゼントなにがいい?お母さんにたのんでみる!」



出久可愛いィィィィィイ!!!!
キュンとした!!
君のその笑顔にハートバキューンだよ!!
ドストライク!!



「なっ、っ、おれがきこうとしてたのになにさききいてんだよデクのくせに!」

「えっ、あ、ご、ごめんかっちゃん…」

『喧嘩しないでー。誕プレかぁー、なにかなぁ』

「ほしいもん、ねぇのかよ」

『……じゃあ、お花』

「花ぁ!?」

「お花だね!わかった!」



だって考えてみたまえ。
出久が花を持ってきてはい!と渡す光景は目を閉じずともすぐイメージが湧く。可愛い。しかし勝次郎くんが花を持ってくるというシーン。思い浮かぶだろうか。まぁ、イメージ出来なくはないがめっちゃオモロい。



「けっ、もっとちげーもんねーのかよ」

『人のほしいものにいちゃもんつけんなよ』

「でも真梨乃かわいいからお花とかすごくにあうとおもう!」

『……可愛いのは君だよ出久……』



そんなに私の胸を高鳴らしてどうするつもりだ!!

学校につけばクラスの違う私だけ彼らと違うクラスへと向かう。



『じゃあ私あっちだから。またね』

「うん!」

「あとでな」


彼らと分かれて席へとつく。今日もいつもと変わらぬ一日が始まる。だからこそ、私は一言いいたい。









勉強くっっっっっそつまらん!!!










(せんせー!真梨乃ちゃんねてるー!)

(こらー!草摩さん起きてー!)

(糖分!!!)

(はい?)

 
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