僕たちのヒーローアカデミア

□天パに悪い奴はいないB
1ページ/35ページ



あの熱い熱い戦いが繰り広げられた体育祭が終わり、2日間の休みが明けた。人使と共に高校に着くまでに様々な人に声をかけられた。優勝おめでとう!だの、あんたと戦い全部面白かったよ!とか。
とにかく、流石はテレビで放送されるだけある。昔の比じゃないくらいに一気に有名人になったよ私。



教室に入ればいつも通りおはようー!と三奈が抱きついてきたりする。相変わらず、朝から元気なことだ。おはようと言って自分の席に着く。 ジャンプでも読もうかと思ったのだが話しかけてきた百やその隣りの焦凍との会話が繰り広げられた。そして鐘が鳴り終わるとすぐにイレイザーが入ってきた。マジで鐘鳴り終わったた瞬間入ってくる具合怖いよね。



「相澤先生包帯取れたのね、よかったわ」



梅雨ちゃんの呟きにリカバリーガールの処置が大げさだったのだとイレイザーは言う。
いや、にしても大げさすぎだろ。



「んなもんより、今日の“ヒーロー情報学”ちょっと特別だぞ」



イレイザーの発言にみんながごくり、と固唾を飲み込んでいた。私はさっき読みそびれたジャンプを取り出して読む。だからかな、なんかわからんけどめっちゃ睨まれてる。



「"コードネーム"ヒーロー名の考案だ」

「「「「胸膨らむやつキタアアアアア!!」」」」

『男が無い胸ふくらませんなって』

「「「「そういう意味じゃねぇよ!!」」」」



超元気だな君たち。
にしてもそんなにコードネームってのは胸膨らむ?
私的にどーでもいいんすけど。
そして切島とかの喜び具合すごいんだけど。

喜びを抑えきれないクラスに先生は睨みつけて黙らせる。目つきが悪い。



「というのも、先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる」



ドラフト指名とは、この前の体育祭で見に来たプロヒーローたちが生徒達をスカウトするものだ。
いわば唾つけみたいなもの。そしてイレイザーはリモコンで我がクラスに来た指名集計を出した。

上から焦凍、私、勝己と名前が続いた。
どうでもよかったのでジャンプに気を取られていたら百に真梨乃さんすごいですわ!と言われた。

え、なに?

思わず顔を上げればうげぇ、と心の声を漏らしてしまった。なんでこんな来てんの、意味わかんな。



焦凍4,123票
私が4,000票
勝己は3,556票



まさかの4,000ジャストとは。スカウト来たことの感激よりそっちの感激の方がすごいんすけど。
だってすごい事だよねこれ。



「例年はもっとバラけるんだが、今年はこの3人に注目が偏った」

「体育祭と順位逆転してんだな」

「まぁ、表彰台で拘束された奴とかビビって呼べねぇって」

「ビビってんじゃねーよプロが!!」

『にしてもまさか私に4000も来るとは』

「さすがですわ、轟さん、真梨乃さん」

「ほとんど親の話題ありきだろ」

『糖分のために戦っただけなのに…』



なんだかしゅん、と気落ちしてる百。
焦凍や他の子との実力の差を見せつけられて自信を失くしたというところか?ま、あと常闇くんに何も出来ず負かされてしまったこともだいぶメンタルに来てるんだろけど…。にしたって落ち込み方激しいな。そういう時は糖分とっとけ。



「これを踏まえ…指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」

『それ辞退できますかぁ』

「出来ません」

『いちご牛乳買いに行っていいですかッ!』

「そんなに縛られてぇなら今すぐやってやるぞ草摩。今すぐその机の上のジャンプをしまえ」



捕縛布に手をかけたイレイザー。

そんな本気で睨まずともいいじゃないか!
怖いわ!その血眼やめろ!



「これでも優勝者だもんなぁ草摩って…。でも職場体験かぁ!それでヒーロー名か!」

『これでもってどういう意味だこら』

「俄然楽しみになってきたァ!」

『無視かコノヤロー』

「まあ、そのヒーロー名は仮ではあるが、適当なもんは―――」

「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」



ミッドナイトが入ってきた。
いつ見てもすごい格好だ。



「まぁ、そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのできん」

『イレイザー、センスなさそうだからねー』

「いらんことを言わんでいい」

『ぐぇっ』



捕縛布で縛られました。
痛いっす。サーセン。



「まぁ、それで将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まり、そこに近づいていく。それが〈名は体を表す〉ってことだ。


――“オールマイト”とかな」



そしてフリップが与えられ、ひとまず考える時間が与えられた。しかし、どうしたものか。なるつもり一切なかったのでこんなもの考えたこともない。
今も昔もだが。んー、と唸りながら私はペンをくるくる回していた。

しかし、流石はヒーローにずっと憧れできた子たちだ。結構みんなすぐ書き始めてる。
それに何よりやはりみんな楽しそうだ。みんなには悪いがまったくもって楽しくないのだけど!
どうしたものか。
全くいいものが浮かばない。









___________________
_______________
____________








15分後。



「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」



おっとまさかの発表式!!え、どうしよう。
私全く思いついてないんだけど!?
すると、率先して青山くんが発表した。

……あれヒーロー名というより、ただの短文なのだが。でもそれに超冷静にアドバイスするミッドナイトもすごいな。三奈も続いて発表したのだが、この二人のおかげで大喜利感が出てしまい、みんなひとまず(どうしようこの感じ…!)てな感じで固まっていたのをマイペースな梅雨ちゃんが打開してくれた。皆スタンディング・オベーションする勢いで拍手していた。A組のこのノリ結構好きだ。

梅雨ちゃんのおかげでどんどん皆発表していき、残りは勝己、私、飯田くんそして出久だけとなった。
が、飯田くんは自身の名前である天哉というものにし、さらには出久が発表しデク、というものにしていた。まさかそれにするとは思ってなかったが、本人がとてもいい顔をしていたから私も納得した。



「爆豪くん決まった?」

「爆殺王!!」

『ヒーローじゃねぇだろそれ』

「真梨乃てめぇ今なんか言ったか!?あぁ!?」

『ヒーローで殺すとか意味わかんねーよ、アホなのか!アホなんですかー!?』

「アホはてめぇだクソ天パ!!」

「でも草摩さんの言う通りね。ダメよこれは流石に」

「チッ」



勝己が一度発表したことによりまだ一度も発表していないのが私だけとなってしまった。どうしよう。すると自然な流れでミッドナイトはどう?と聞いてくるも首を横に振るしかできない。



「真梨乃、決まってないのか」

『全く決まってない』

「なんか憧れてるやつとかいねぇのか?」

『憧れって抱いたことがないなぁ』

「ないのなら仕方ないな」

「轟さんそこでめげちゃダメですわ。真梨乃さんはこう呼ばれたいとかありますの?」

『いや全く』



こんな私のために何故かもう決まったクラスメイト全員が考えることとなった。なんか申し訳ない…。



「草摩ってなんかあだ名とかねぇの?こう呼ばれてたー、とか?」

『えー?あだ名ぁ?…勝己になら呼ばれるけど』

「ば、爆豪さんに……い、一応聞いておきましょうか。どんなものですの?」



みんな期待せず苦笑いを浮かべて私の言葉を待った。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ