日本から帰国した沙織を待ち受けていたのは慣れ親しんだ12宮の優しい守護者達だった。
一段一段踏み締めながら沙織は女神神殿への道を昇っていく。
白羊宮
「沙織さん、ハッピーバースデー!!」
第一の宮では天真爛漫なアリエスの後継者がクラッカーを鳴らして満面の笑顔でお祝いをしてくれた。
柔らかいほっぺたに「ありがとう」のキスを返せば少年は照れ臭そうに頭を掻いて師へと視線を向ける。
「アテナ。」
優雅に笑う当代のアリエスは礼をすると少女の首に贈り物を掛ける。
「まあ....!」
「貴女のご生誕を祝して...ささやかではありますが受け取っていただけますか?」
沙織の胸元にはピンクゴールドとダイヤで作られたオリーブをモチーフとしたネックレスが。
「沙織さん、それムウ様が作ったんだよ!」
師の一品を誇らしげに告げる弟子。
ペンダントトップのオリーブは女神アテナを象徴する樹。幾重にも分かれている枝はピンクゴールドで作られ、葉の一枚一枚にそれぞれ小粒のダイヤが施されていてその細かい仕事に息を呑む。
自ら持つ聖衣修復の技術を宝石装飾に変えて贈り物としてくれたアリエスからの祝福を沙織は心から喜んで受け取った。
「素敵な贈り物をありがとう、ムウ...!」
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