切ない恋物語
□あなたの隣にいたい
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初めから、分かっていた。
あなたが誰にでも優しいことも。
あなたが地味な私に気づいてくれていたことも。
あなたが決して人を傷つけないことも。
その優しさが大好きで、その微笑みが大好きで、その真っ直ぐな瞳が好きで……
もう気づいたら言葉にできないくらい好きになっていたの。
[あのさあ、私これ嫌だから一生のお願い!代わってーー‼]
その珍しく話しかけてきた女の子。
それは別に好意で話しかけたんじゃなく、嫌な仕事を私に押し付けるためだった。
いつものことだし、断れないし、仕方なくいつものように引き受けたんだ。
たった一言、いいよって。
まるで私にはその言葉しかないというくらい当たり前に。
そしたら決まってその子は良かったーという笑顔を見せ、向こうの友達と去っていくの。
これが私には"当たり前"だったんだ。
でも………
「おい、また仕事押し付けんじゃねーよ。」
『っえ………』
この時、私にはあなたが輝いて見えたの。
仕方ねえなあいつら。
そんなことをいいながら帰ろうとして持っていたバックをおくあなた。
「ん、手伝うよ。」
その言葉に、その瞳に、私はこの時から恋をしていた……
でもさあ
でも
神様って意地悪でさ
………分かっていたよ。
ほんとに、あなたのこと色々分かっていたんだ。
あなたが優しいことも……あなたが地味な私を助けてくれることも……
あなたが……
あなたの隣には、いつもあの子がいることも…………
だからもう……
優しくしないでよ、これ以上……好きにさせないでよ………今日も私、苦しくて、でもあなたが愛しいの。
―終―