銀魂
□ミスター
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「まっじで!お願い!!」
「嫌でぃ」
「本当にお願いします」
「嫌でぃ」
高2、秋。
ここに、3週間もそれを繰り返す者たちがいた。
「俺じゃなくてもいいだろ。他のやつに頼め」
「これ頼めるの沖田しかいないのや!!」
ていうかあんたが一番適任でしょうが!
って言ってもきっとスルーされるんだろうけど。
私が今、同じクラスの沖田くんに何をこんなに必死になっているかというとだ。
この学校の学園祭で毎度ミスター・ミスコンテストという行事が行われる。
簡単に言ってしまえば、このクラスの代表を彼に頼みたいっていうか頼んでいる。
「もうそろそろ折れてくれたっていいじゃないか…」
3週間たつよ。
もう学園祭明日だっつの。
「衣装とかさー本当は2週間前にはミスターさん決めちゃってさ。その人の体形に合わせて色々衣装とかさ。準備とかさ」
全部狂うぞ貴様のせいで。
「しらねーよ。はなっから他のやつにやらせとけばそんなことにならないんでさァ」
「ま、衣装は沖田くんの身長に合わせて作らせていただきましたからね」
「はぁ?!」
まじでうちの裁縫部が死ぬ気で作った衣装、着てもらうからな。
「意地でもYESって言ってもらうからな」
「まじでバカなんだけど。ついていけないんだけど」
ぶっちゃけやっぱりこのクラスで一番のイケ男は悔しいながら貴方なんだよ。
そしてこのコンテストの優勝景品がハーゲンダッシュなんだからそんなの本気で挑みたいにきまってるじゃないか。
貴方が出ればカチゲーなの。チートなの。
「…で、ミスは誰なんだよ」
「え、やってくれるの?ミスター?やっぱりペア気になるの?」
「うざいうざい」
私の顔の前でしっしっとはらうようなそぶりをして、教室から出て行ってしまった。
「…これやっぱり無理かな」
教室のカレンダーを見て、「学園祭」と書かれた日付を見ては言い知れぬ敗北感に襲われるのだった。
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